誰がために、何のために
□十二章
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「ああ」
私の部屋で着替えていたトラファルガーさんは紺色のポロシャツにジーンズといったラフな格好で出てきた。
ただ、トラファルガーさんが着るとどんなに平坦な服装でもお洒落に見える。
これがオーラのある人と無い人の違いなのかもしれない。
「じゃあ、行きましょうか」
そう言ってパンプスを履いた私にトラファルガーさんは何も言わず、この前買ったスニーカーに足を突っ込んで部屋を出た。
歩美たちとの待ち合わせ場所は、駅前デパートの入り口前。
入り組んだ道を越えて、広い大通りを過ぎた所にそのデパートは建っている。
「……」
「……」
デパートに向かう間、私はお互いに無言だった。
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