メメントモリ
□quattro
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もしかしたら私の死は近いのかもしれない。
何もない空間でふと思った。
あの日、プロシュートと呼ばれた男が部屋を出て行った日からずっと私は、ただベッドに横たわるだけの生活を送っていた。
暇つぶしになるものもない。
体を動かすことも、口を開くことさえも出来ない。
今日が何日なのかも曖昧。
過度のストレスのせいか眠りにつくことも出来ず、ついには考えることすらもやめた。
本当に、人形になっていくような感覚だった。
『死ぬことは人間にとっては、苦境からの解放である』
不意にアイスキュロスの有名な格言を思い出した。
……死んだら、楽になるだろうか。
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