二つのノスタルジア

□#2
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「萩原 梓です。よろしくお願いします」


さして当たり障りのない挨拶と共に頭を下げ、担任の先生に指定された席に座れば、予想通り沢山の視線に晒される。


……中学生って本当面倒臭い。


不躾な視線の嵐を若干不快に思いながらリゾットのようにポーカーフェイスでなんとか乗り切ることにする。


「ねえ」

「うん?」


不意に背中をつつかれ振り返ると、そこには屈託のない笑みがあった。


「あたし、奈緒って言うの!よろしくね!」


薄い茶髪で先っぽが巻かれたロングヘアー。
うっすらと分かるチーク。


一目見た分には少し不真面目そうだけど裏表のなさそうな雰囲気を持った女の子。


友達多いだろうな、この子。


ただ漠然とそう思った。

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