誰がために、何のために
□六章
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「トラファルガーさ……」
「黙れ」
ソファーの前に仁王立ちして私を見下すトラファルガーさんは正直言ってものすごく怖い。
いつもよりずっとドスの効いた声で話す彼は間違いなく怒ってる。
私、何か怒らすようなことした?
考えたところで思い当たる節なんて一つもない。
「おれの質問に答えろ」
「あの……」
「お前、何があった」
駄目だ。
私の言葉なんてまるで無視。
聞いちゃいない。
「だから……トラファルガーさんには関係のないことじゃないですか」
目を伏せた私にトラファルガーさんの形の良い眉がぴくりと跳ねた。
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