花束をきみに

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ある日の室長室……

「室長、本気でお考えなんですか?如月は……」
「淡島君、わかっていますよ。彼女が赤のクランと関わりが深かったことなど」
「ではなぜでしょうか?それに彼女の能力は未だ不安定です」
「ですからです。能力は精神の奥深く、深層心理も関係しているものです。…過去から逃げることはできませんから」

パズルのピースを持ちながら意味深に呟く宗像。
机を挟み立っている淡島は意味が理解できたようで小さく溜め息を零した。

「………伏見と同伴でよろしいでしょうか」
「えぇ。それにしても意外にもよく懐いていますね」
「…本人らは自覚していませんがね」
「いいじゃないですか。伏見君にとっても彼女の存在は特別なんでしょう。良い方向に転がってくれているようで」
「……。それでは、明日行われるであろう赤のクランと暴力団の 抗争には、伏見に如月を同伴でつけます」
「お願いします。彼女の仕事ぶりからしても戦線で働いてもいい頃でしょう」

淡島は扉を閉め、踵を変えながら思う。
キングである彼が、どこまで先を見据えているのか追いつけなくなるときがある。
…それでも私は私の仕事をするまでね。
実桜は大丈夫なのかしら。

なんだかんだで可愛い部下を心配しながら、淡島は明日の連絡をしに行った。




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