笑顔を失った天使 ィナイレ

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「ただいま」

誰もいない部屋に声が吸い込まれるよううに消えた

りおなは帰るなりソファーに陣取りテレビをつける

「マカロンくれ」

「あいよ」

マカロンを取出しりおなに手渡す

満足げにかぶりつく姿を見ながら隣に座って自分の分を口へ運ぶ

「今度は何の試合見に行く?」

「アメリカ戦」

「アメリカなー」

なるほど、と言いながらテレビのチャンネルを変えるりおな

「明日からまた学校か…」

「いいじゃねーか、佐久間たちに会える」

また佐久間かよ

正直やきもちだ

いつもいつも佐久間佐久間佐久間

あんな眼帯野郎の何がいいんだか

「…あ、明日は響さんに呼ばれてたか」

「あ」

忘れてた

去年もこれぐらいに集められたんだ

FFIの日本代表決定戦

去年りおなは足を骨折していたため参加できなかった

今年は参加でできる

その喜びは大きいはずなのにこいつは何も言わない

それともあらわしているつもりなのかもしれない

こいつには笑顔がないからずっと一緒にいるつもりの俺でも時々わからないことがある

たいていはわかるが今回みたいにそのことに関して一切何も言わないときは流石にわからない

「FFIかもな」

わざと話をふる

「かもな」

おどろいた

そっけない返事しか返ってこないことはわかってた

そんなことではなく

りおなが緊張していることに何より驚いた
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