笑顔を失った天使 ィナイレ

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河川敷で2人

隣にいるのは鬼道

話があると言われて連れてこられたのはここ

そろそろ日もくれてきた

さっさと帰りたい

と、いうかいろいろありすぎて整理しきれない

「聞きたいことがある」

急に今まで黙っていた鬼道が口を開いた

「お前は今までどこにいたんだ?響きさんと工藤監督がキャプテンにすると言った奴だ。何処かの大会に出ていたのかと調べたがお前の名前はどこにもなかった。お前は何者だ」

返事ができなかった

言葉がない

過去

俺の過去

知られたくない

今まであったことを全部空白にしたい

人生がやり直せたら

そう思う

「?」

黙っている私に違和感を感じたのか鬼道が俺の顔を覗き込んだ

「わ、わるい…今日ちょっといろいろありすぎて整理できてないんだ…ほっといてくれ」

そう言い残し立ち上がる

鬼道が後ろから何か言っているがそんなことどうでもいい

過去なんて思い出したくもない

どうして私はこんな目にあってるんだ

どうして…俺だけ

ゆっくりと足が自らの本能のままに動く

夕日に染まる街

商店街

明かりの灯る家

暇そうな警察官

公園で溜まってる高校生

営業のサラリーマン

走り回る子供

いつもの風景がここにある

俺一人「非」日常に取り残されたかのように

みんな、それぞれの日常を生きる

キャプテン

その言葉は私にとってのトラウマだ

まさかんなところでまた出会うとは

ふっとあの時の様子が目に浮かぶ

それもそのはずだ

俺は今、






あの病院の前にいた
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