流水落花
□その三
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「猩くん!それにみんなもいらっしゃい」
門には、中学生に囲まれて若干困り気味の猩影とリクオの友達基、清十字怪奇探偵団がいた。
平然と挨拶をする姉に、ヒヤッと肝を冷やすリクオ。
まさか同時に来るなんて。
「こんにちは、奴良くんのお姉さん。奴良くん、遅いぞ」
「ねえ、リユキさん、この人ってもしかしてリユキさんの彼氏?」
興味深々にカナが尋ねてきた。それに島も食いつく。
「えへ、そうよ。行こう猩くん、みんなもゆっくりしていってね」
そう言って、リユキは猩影の手を取って門を抜けていく。
猩影の顔が少し赤かったことには誰も気づかなかった。
「ひゃーリユキさんの彼氏さん背が高いっすね」
「本当に。それにかっこよくてお似合いだったね」
リクオはそれを聞いてなんだかイラっとした気がした。
そんな自分の感情に疑問を抱きつつ、みんなを屋敷へと案内する。
「リユキ、あれはいったい?それに今日は、いやに静かだったな」
「リクオの友達よ、あの中に陰陽師の末裔の子がいるんだって。たぶん黒髪の子かな」
あの子だけ見たことない子だったなと、リユキは先ほどの弟の友達を思い浮かべる。
「陰陽師?!大丈夫なのか」
猩影はリユキがそれを聞いたときと同じようなリアクションをする。
それにクスっと笑って、リユキは平然と答える。
「みんなに隠れて貰ってるから大丈夫だと思う」
「だからか」
猩影は屋敷が静かだったことに納得した。
リユキと猩影はよくこうして二人で出かける。今となっては恋人同士ということもあってそれは自然なことだが、以前は幼馴染、また同じ境遇に育ったことにより、互いに依存している節があった。
今でこそリユキは明るく素直な女の子であるが・・・。その昔の姿を知る猩影や組の者はリユキを放っては置けなかった。
「でもつららが心配なのよね」
思い出したふうに、リユキが眉を寄せる。
「つららの姐さん?」
「うん、ばっちり『雪女』って書いた紙を部屋の入り口に張っててね、見つからなければいいけど」
「それは・・・」
と猩影は苦笑した。部屋が見つからないことを祈るしかない。