流水落花


□その五
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「――なぜ止める?リクオ・・・」

キンッという高い音が聞こえ、リユキは恐る恐る目を開けた。
牛鬼の刀が柱に突き刺さっている。

「私には、謀反を企てた責任を負う義務があるのだ・・・。なぜ死なせてくれぬ・・・!」

「おめーの気持ちは痛ぇ程わかったぜ。オレがふぬけだとオレを殺して自分も死に、認めたら認めたでそれでも死を選ぶたぁ、らしい心意気だぜ、牛鬼」

リユキを巻き込んだのはいただけねぇがな、とリクオ。

「だが死ぬこたぁねぇよ、こんなことで・・・なぁ?」

その言葉を聞いてはっとする牛鬼。
リユキはその言葉を聞いてやっと身体が動くようになった。

「これは大問題ですぞ!!」

「ここでのこと、お前らが言わなきゃすむ話だろ」

それに、黒羽丸とトサカ丸は唖然とする。

「牛鬼・・・さっきの答え、人間のことは、人間ん時のオレにきけよ。気に入らなきゃそん時斬りゃーいい。その後・・・・・勝手に果てろ」



そのあと牛鬼は意識を手放した。






リユキは、怪我を負った牛鬼とリクオの手当てをした。
特に、牛鬼の傷は深く、流した血の量も多いようだった。リクオはというと、体質のお陰か、傷は治りかけていた。


「リユキ、大丈夫かい?どうしてここにいるんだ」

リクオは、治癒をしているリユキの横にどかっと座り、そう言った。

「リユキ様、お一人で出かけられては困ります」

そこへ黒羽丸もやってきた。
トサカ丸はささ美を呼びにいったのでここにはいない。

「あ、えっと、それは・・・。ごめんね、私、気づいてたの」

リユキは黒羽丸の勢いに圧されながら本当のことを話し始めた。

「何を?」

「牛鬼が謀反を企てようとしているんじゃないかって」

「そうか・・・」

「だから、牛鬼の誘いに乗って、リクオが傷つく前に止めようと思ったのに・・・できなかった。ごめんなさい・・・」

「お前は悪くねぇよ。オレがふぬけなばっかりに、牛鬼にもこんなことさせちまった」

「まったく・・・。危険とわかっていながら、そのようなこと」

「黒羽丸、うるせーよ。いいじゃねぇか、無事だったんだから」

「若!そういう問題じゃありません。それに、猩影殿が屋敷に参られましたよ」

「あ!猩くんと約束があったんだ。・・・あ、の、このこと・・・猩くんには・・・」

黙っててと言うリユキ。

「リユキ様がこちらにおられることは一部のものしか知りません。だから大丈夫かと」

「そう、よかった」










牛鬼編了。
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