流水落花


□その一
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奴良組本家では総会が行われていた。


「そのことなら、前々から言っておる通り、奴良組72団体構成妖怪1万匹を率いる三代目はわしの孫、リクオをおいて他にない」

三代目の跡取りについて切り出した一つ目入道に対してぬらりひょんはこう答えた。

「ですがリクオ様はまだ幼い子どもです」

「漏れ聞くところに寄れば、リクオ様にはその気がない」
その場が騒然となる。

「総大将、それは真でございますか」
「妖怪に覚醒したのも、4年前に1度きりと聞いておる」 
「とあらば、リユキ様はいかがか」
「成人したとはいえ、リユキ様とてまだ幼い」
「さらにリユキ様は、後方支援型。治癒はできても戦闘には不向きじゃ」
「だが、リクオ様のまだ見ぬ才を待つよりは・・・」
「そうですな、一度リユキ様の意見も聞きとうございます」


リクオの姉であるリユキの名前が出てその場はさらに騒がしくなった。そこへ今まで沈黙を守っていた牛鬼が声をあげる。

「みなの言うことはもっともだ。されど、『畏』とは鬼が鞭を持つと書く。それすなわち、闇の世界の主なり。待つのだ、リクオ様がその手に鞭を握る日を。真の畏を纏う日を」
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