流水落花


□その三
1ページ/5ページ


「リユキ様〜」

うわ〜んと泣きながら雪女のつららが飛びついてくる。

「どうしたの、つらら」

「お、陰陽師、が!」

「陰陽師が?」

「うちに来るんですーーー!」

「へ?」


なぜ陰陽師がうちに来るのか、つららの話ではいまいちよくわからない。

とにかく、いつまでも抱きついて居られると冷たいため、つららをやんわり離す。



「リクオ!」

そこへリクオが通りかかる。なんだが、そわそわしている。

「姉ちゃん、何?」

「陰陽師ってどういうこと?つららが泣いてるんだけど」

「ああ。今日、友達が遊びに来るんだ。その中に陰陽師の末裔の子がいて・・・」

「え、それってまずくない?」

「うん、だから今みんなに隠れるように言ってるんだ」

「私も隠れます!この紙を張っておきますから絶対に中に入らないでくださいね!」


つららは「大量冷気発生中」などと書かれた紙を掲げた。それにはしっかりと「雪女」とかかれており、心配になるリユキ。

それを指摘しようとする間もなく、つららはびゅーと部屋の方に駆けていってしまう。



「大丈夫かな、つらら」

「姉ちゃんも隠れててね!」

「今日は猩くんと出かける予定だから」

「そっか。それならよかった」 


それに普段は人間として生活しているのだ。リユキに関しては大丈夫だろう、とリクオは思い直した。




そこへ、ピンポーンと呼び鈴が聞こえた。

「猩くんかな?」

「ボクの友達かも」

リユキとリクオは門へ向かった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ