流水落花・・・番外編
□球技大会
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球技大会とは、教師が成績を付けるために存在する。そのため大抵、実力テスト後や学期末テストの後に実施されることが多いのである。
リユキと猩影の通う高校でも例に漏れることなく、期末テストが終わり、あとは夏休みを待つのみというこの時期に球技大会は開催された。
「リユキ!体育館行かないの?」
「行くよ!ちょっと待ってー」
リユキはたった今、自身の出場競技の全試合を終了したところだ。リユキはテニスのダブルスに出場したが、あと一歩というところで決勝進出を逃してしまった。
「奴良さんお疲れ様!惜しかったね」
「ありがとう!私がサーブミスらなけ
ればね」
「いやー、でも相手は両方ともテニス部だったから健闘した方だと思うな」
「ちょっとーなんでリユキばっかなのよー!ダブルスなんだから、私も出たんですけど!」
「あーそうだったけ?」
「うざー!もう、リユキ急がないと猩影くんの試合始まっちゃうよ!」
「あ、そうだった!たしか14時から・・・ってあと3分じゃない!」
テニスのダブルスでは決勝進出を逃してしまったが、猩影の出場しているバスケは決勝に進んだとクラスの連絡係に聞いたのだ。リユキは猩影の試合が見れるなら、準決勝敗退でも悪くないかもれないと思った。
今までの試合は、リユキの一回戦を猩影が応援に来た以外全ての試合が被っていたため、リユキにとって初めてのバスケ観戦になる。
「なんとか、間に合ったね」
体育館は決勝というだけあって、試合のないほとんどの生徒が観戦に来ていた。そのため、近くで見ることは叶わなかったが。
「猩影くんがいるからうちのチームってすぐわかるね。うちは青のビブスか」
友人の言うとおり、猩影の長身のお陰でチームメイトも見失う心配はなさそうだ。
カラーを確かめたところでちょうど試合が始まった。ジャンプボールを取ったのは、言うまでもなく猩影。長身がこれほど生かされるスポーツはないだろう。猩影の飛ばしたボールはチームメイトの手に渡り、そのままゴールのリングをくぐった。
「きゃー!猩影くんさすが!あの高さに届くのは猩影くんしかいないわよ!・・・てリユキ?どうしたの」
「え・・・えっと、うん。そうだね」
そして次に得点したのは猩影だった。味方のパスを受けてドリブルからのレイアップを決めた。
会場は歓声に包まれる。それもそのはず、決勝の相手はバスケ部キャプテン率いる3年生のクラスだったのだ。それを1年生が圧倒している。