絆 -きずな- 番外編

□変な夢と深層心理。
1ページ/2ページ

 

「変な夢みた」


夜とも言えぬ、朝とも早すぎる時間。

妙な寝苦しさに目を開けると、そこには金髪がいた。

寝起きなのか、アイデンティティの王冠は被っていない。


「変な夢みたんだ、雲雀」

「そうか」


無理矢理に意識を引っ張ってきて、答える。

凍弥は、本当に変だったんだ。
と繰り返した。


「変だった。
 変だったんだ。
 なんか、とにかく、変な夢だった」

「そうか」

「そう。
 内容は、よく覚えてないんだけど」


俺の上に乗ったまま、言う。


「さっきまで覚えてたんだ。
 けど、忘れちゃって。
 結論は分かってんだ。
 その間を、過程を忘れちゃって」

「そうか」

「そう、そうなんだよ、変なんだ。
 変なんだよ」


凍弥はごろん、と俺の隣に寝転がった。

少し首を凍弥に向ける。

金色の瞳がこちらを見ていた。


「変な夢……。
 どうゆーわけか、雲雀が――…………」


凍弥がうとうとし始めた。

それもそうだろう、この時間だ。


「あのな、雲雀が……、
 雲雀がオレを――――」


眠たそうな凍弥を見るにつれ
だんだんと睡魔が襲ってくる。


「オレが―――られて………、
 ――………で…………手を――――……夢……………た」


うつらうつらしながら凍弥が言葉を紡ぐのを聞いた。

凍弥は言い終えると、
眠そうに目を擦り、目を閉じた。


「変な夢………。
 雲雀はそーゆーの、しないのに……」


薄れゆく意識の中で、凍弥がそう呟いたのが嫌にハッキリと響いた。






.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ