優、雅。
□第3話『大切な時間』
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11月5日。木曜日。
昨日の俺は、雑木林を抜けて、
真っすぐ家に帰った。
俺の家は町の賑わう中心部から少し離れた、
静かなところに建つアパート。
アパート自体が小さく、
2階建てなので部屋は6つ。
部屋はそれぞれ同じ造りで、
6畳くらいの部屋が玄関を入ってすぐにある。
仕切りが無いから玄関を開けると丸見えである。
他に、簡単な台所と、トイレ、風呂、押し入れがあるくらいで部屋は1つだけ。
家具を置いたらかなり狭くなる。
俺以外に住人は大家さんと、女子大学生の2人だけ。
1階は俺が1部屋、
残りの2部屋は女子大学生。
2階は大家さん1人が3部屋全てを使う、という、何とも不思議なことが起きている。
俺の部屋には必要最低限のもの、
テーブルと、タンス、布団、冷蔵庫ぐらいしかないので1部屋で十分である。
家に帰った俺は読書で時間を潰した。
そして、今日を迎えた。
本当なら迎えることができなかった日を迎えた。
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