優、雅。

□第5話『再会』
1ページ/2ページ

 

あれから、5年経ったんだ。

アイツと会ってから、もう5年だ。
やっと、5年だ。

短かったし、長かった。


俺は、町に戻ってきた。

ちょうど、11月3日。


何にも、この町は変わらない。

住んでたアパートもそのまま。

俺が住んでた部屋も空き家のままで、
またそこに住むことに決めた。


メンバーは、俺の隣の部屋の女子大生が大学を卒業し、フリーターになったくらいで、
他に大きな変化はなかった。

相変わらず、部屋割りがおかしい。

他に変わったことといえば、
大家さんが老けたくらいだ。


数少ない家具を置いて、荷物を片付けて、
二人に挨拶をして、買い物に行き帰ってきた頃には
すでに6時を回っていた。


……ふむ。雅に会うのは明日にしよう。

どうせ、雅のことだから丘に行けば会えるだろう。


……………。

……いや。何を考えているんだ?

雅は死んだんだ。それを確認しに来たんだ。



雅に会えなければ、いいんだ。



そう。死者に会うことは叶わないのだから。

丘に行ったところで、雅に、
死んだ雅に会えるはずがない。

明日、丘に行って雅に会えなければ、
それが正解なんだ……。


疲れていたのだろう。

その日、俺は考えているうちに眠っていた。

死んだように、深い眠りについた。






.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ