(仮)

□プロローグ
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とある国の郊外の町のさらにはずれ。

人気がなく、暗く湿った空気に包まれた路地の先。

周りのボロボロの家と比べて、
場違いなくらい清潔感あふれる白い壁の家。


けれど、周りから浮いているわけでもなく、
そこにあるのが当然というように存在するその家は、
ドアの近くにある電灯で暗い道を照らしていた。

その照らされた路地を少年と少女が歩いている。


ドアの前につくと、
少年はノックもなしにドアを勢い良く開け放った。

中は電気がついておらず、外よりも暗い。

少年はその闇に向けて、叫んだ。


「ただいまー! つーか、お邪魔しまーす!
 おーい、いるかー!!」

「入った」


続けて少女が素っ気なく言った。

すると、暗闇の奥から、


「ノックくらいせェよ!」


別の少年の声が返ってきた。


「おぉ、いた」

「電灯点いてたから、いないとおかしい」


少女は近くのスイッチを押し、
電気を点けながら、ケラケラと笑う少年に冷たく告げた。


2人は廊下を歩き、声のした奥の部屋へ。


再びノックせずにドアを開く。


部屋の中はごちゃごちゃとしていて、汚い。

真ん中にテーブルとそれを挟んでソファーが向かい合うようにある。

そこから少し離れた右奥の壁際に
パソコンが二台、隣り合って置かれている。

ドアから見て左側の壁と正面の壁は本棚でうめつくされているが、
その3分の1を占める本は直接床に積み上げられていた。


「せやから、ノックせェ!」


パソコンの前に座る茶髪の少年が言い、


「悪ィ悪ィ。癖なんだよ」


赤髪の少年が反省した様子もなく笑顔で答えた。


「少しは反省しなよ」


青髪の少女は呆れた口調で呟いた。


「まぁ、ええわ。そんなことより、お腹減っとんとちゃう?
 我がなんか作ったるわ。ちょっと待っとき」

「おー、気が利くー」

「待つ」


茶髪の少年が立ち上がり、部屋を出た。






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