絆 -きずな-

□第5話 初任務
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某日。

駿河の港に1隻の船が到着した。

中から2人の人間が出てくる。光と一星。


「お待ちしてました、マリア様」


港にいた茶髪の女が2人を出迎えた。

短く光が返事を返す。

女は一星を向いて、


「試験合格おめでとうございます。
 司令様よりご連絡に預かっております、鈴城様」


言った。


女は一呼吸置いて、ビシッ、と踵をつけ背筋を伸ばす。


「本事案につきまして、
 司令様よりマリア様お二方のサポートを任されております、私、橘皐月と申します。
 至らない点もあるかと存じますが、よろしくお願いします」
 女――――皐月は言った。

それに光が「ん」と返す。


「宿を取っておきました。この先です」


皐月が目の前の道を示して言った。

2人は皐月の後に続く。



しばらくして、一軒の宿に着いた。

階段を上がる。部屋は3階の角部屋だった。


「お二人で一部屋となります。こちらです」


皐月はそう言って、部屋の扉を開ける。

光が入って、一星もその背を追う。

最後に皐月が入った。


光は窓側のベッドを陣取る。

それを見て、一星は荷物を隣のベッドに置いた。

皐月はソファーに座る。


「任務内容の確認は致しますか?」

「んあぁ」


皐月の問いに、光はベッドの上で答えた。

一星は皐月の向かいのソファーに腰を下ろす。


「では、簡単に。
 ――――まず、死神は1体です。夜に被害が多いことから、夜行性と考えられます。
 また、偶然に死神の行為を目撃し、何とか逃げ切った方の情報から、タイプは感覚。
 明暗を駆使するものと思われます」


それから皐月は、発覚までの経緯、
被害状況、死神だと思われる人物の概歴を述べた。


一通り話を聞き、光は大きく欠伸をした。

ベッドに倒れる。


「もーいいでさァ。眠ィし、寝る。動くのは夜な」


布団に潜り込みながら光は言った。

すぐに寝息を立てる。


「沖田さん、さっきの船でも寝てたのに……」

「仕方ないですよ。沖田様は夜型ですから」


一星の呟きに、皐月は苦笑して答えた。

そして、


「少し早いですが、お昼ご飯は如何ですか? 
 それから、街を見て回りましょう」


 言った。







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