旋律の刄

□交差する想い
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「そういえばお前どこから来た?」
彼女の方を向いて聞いてきた。


「サウントベルンから来たんだ……うん、今思い出したけど人探してたんだ!」
上を向いてリリアーは人を探していたことを思い出す。


「でどこに行きたいんだ?」



「フェアリーに行きたいの!」


「あそこって妖精と召喚獣しか入れないんじゃなかったか?」
燕准はフェアリーは妖精と召喚獣しか入れないことを知っていたからもっともな疑問をリリアーに聞く。
フェアリーは緑豊かな大自然に囲まれていて深淵の森がフェアリーを外部の人間たちから守っていた。深淵の森に外部から来たものはあの森を抜けるすべを知らぬ為深淵の森は一度入ったら脱け出せない魔の森とも人々から言われている。


「入れるから大丈夫だよ」
自信満々の笑顔で燕准を見上げた。


「そうなのか?なら、分かった明日の朝早くから行くぞ」
「うんっ!」


*****



「リリアー起きろ!」
隣で寝ているリリアーを揺すり起こす。


「……うっ…まだねむい…」
目を擦りながらまだ覚めていない双眸を開く。


「顔洗ってこいよ」
「眠いからいい」
それを聞いた燕准はリリアーを抱き上げ洗面所に連れていった。


洗面所の前に立たせ顔を洗わせるがリリアーは全く起きないので水を張ってその中に顔を突っ込む。


「がぁっ……ぢぬ゛!!!」
ガバッと水面の中から起き上がる。
正確には水のなかで息が出来なくて苦しくなって起き上がった。


「おおっ!!やっと起きたか!」
ニコッと笑いリリアーの頭をわしゃわしゃ撫でる。


「あれで起きなかったら私死んでるよ」
洗面所を出て着替え始める。
リリアーが着たのは女物の服ではなく男物だった。
白いシャツに黒のベストを着て、細長い足に黒いズボンで靴は茶色のブーツを穿いて金髪の絹糸の様な髪は三編みにする。


「あれ、お前男装するの?」

「この方が色々と便利だからな。人前でボクの名を呼ぶときはジョンとでも呼べ。では行くぞ」
男装しててもその美しさは消えず燕准は見いってしまう。


「お前よく見ると綺麗な顔しているな」
リリアーの唇を指でなぞり唇を重ねる。




****

どこまでも広がるエメラルドグリーンの大海原。
波の揺れが船を揺らす。
潮風が心地よくリリアーの髪を靡かせる。

「おい、もうすぐ皇仙国(とうせんこく)に着くぞ!」
甲板にいるリリアーに燕准は声をかけた。

「うん、わかった」



アナウンスで皇仙国に着いたことが分かったリリアーと燕准は船を降りた。
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