旋律の刄

□遙かな日々(後編)
1ページ/6ページ

『エルファーレの章』







午前中はシリアとイーシスと遊び午後はラルファやファム、リュウガと城下街に探検に行く事になっていた。


ちょうどシリア、イーシスと遊んでいた時だった。
部屋の開けっ放しにしていた窓から風が入る。
誰かに呼ばれている気がしたエルファーレはさっきからボッーとしていた。
それに気付いたシリアがエルファーレに声をかける。

「お姉ちゃんどうかしたの?」

「あっ、何でもないよ」

「ならよかった」
とシリアは微笑む。



****

午後になりラルファ達と出掛ける。
みんなラルファの母が作ってくれたお弁当を持ち城下街に向かう。
ハルディーヤ帝国の城下街はとても広いくて大陸の中心に帝国があるため色んな国の人が来る。
市街では大都市アクサルには負けるが色んな物が売っている。


亜人や召喚獣達が当たり前のように歩いているそれがこの国。
自然豊かで皆が幸せに暮らせるようにオルガラァードが勤めていた。
全ては皇妃の願いを叶えるため。
『差別のない誰もが幸せに暮らせる国』それが皇妃の願い。
その為だけにオルガラァードは全力を尽くした結果がこの国だ。



「ほんとー、この国って豊かだよな親父がここまで国を変えたとは思えねぇぜ」
辺りを見渡してそう言う。
彼はいまだに自分の父がしたことを信じていなかった。



「父さんだからきっと何か目的があったんじゃないの?あの男がこの国を思ってやったとは思えないよ」
空を見上げポツリと呟くファームレッド。
父のあの性格を知ってるからこそ理解できないといったようだ。

永遠と永優はもとは一つの人格だったがオルガラァードに暗殺者として仕込まれたせいで人を殺すことを恐がっている為人格が二つになった。
過激な性格なのが永遠。穏やかな性格なのが永優。
二つの人格は共鳴してお互いがお互いを必要とする。
不協和音さえ生み出さなければどちらか片方が消えることはない。




「さてと、適当にブラブラするか。お前ら自由に行動していいぞ」

カットシャツは袖をまくり、前のボタンを2個外しており黒いズボンを着ているラルファは城で着ているような堅苦しい格好ではなかった。


エルファーレはシャツに黒いネクタイと短パン靴は黒いブーツという簡単な格好で尚更性別男の子に見えてしまう。


「ボク、ラルと一緒に行動する!」
思いっきりラルファに抱き着くエルファーレ。


「はいよ、なら行くか」
二人はどこかに行ってしまった。
残されたリュウガとファームレッドは暫く

沈黙が続き先に口を開いたのはファームレッドだった。

「ラルファ好きだよなあいつ」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ