旋律の刄

□遙かな日々(後編)
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「そうですね。私には理解できませんけどね」
つまらなそうにしているリュウガは不貞腐れていた。



「あいつ取られたのがそんなに気に食わないの?」


「ええ、とても気に食わないです。あの子の傍にいるのは私だけでよかったんです…私はエルだけを……でもラルは面白いので好きですよ」
ギュッと拳を握り締める。




******


エルファーレとラルファは街全体が見渡せる丘に来ていた。
丘から見ると街が意外に広い。
綺麗な街並みは美しい絵画のようで、緑豊かな丘にある世界樹はとても大きくて世界中の何処にでもワープ出来る鏡が隣にある。
その鏡は白い石で埋め込まれて古代文字が彫られていた。



「わあっ!おっきいよこの樹!!」
首を伸ばして世界樹を見上げるエルファーレは感激していた。



「あたりめぇだろ!世界樹なんだから」
エルファーレを抱き上げ肩車する。



「はうっ、ものすごく高いよ!!」
手を伸ばしてみてもまだまだ高かい。



「そろそろ昼食食うか?」
肩車しているエルファーレを地面に下ろしそう言った。


「うん!」
満面の笑みでそう応えた。



*****


そのころロクシェたちは城の中で調べものをしていた。
城内にある図書館の地下に二人はいる。



「ロクシェこれ違う?」
巻物をロクシェに差し出す。ロクシェはそれをヘイブンから受け取り中を見る。



「ああっ、これだ…!」
中には家系図が書いてありロクシェ達の名前も載っていた。




「あれ?これさぁエルファーレ様の名前が書いてある隣にもう一人名前書いてあるみたい。でも黒く塗る潰されているね」
人差し指でエルファーレの隣に指す。そのもう一人の名前が書いてあるはずの場所だけが黒く塗り潰しってある。



「やはりもう一人兄弟はいたって事か」
顎を持ち目を瞑り考え込む。しばらくしてから目を開き言葉を発する。


「“五人目”の兄弟をまだあの男は知らないはずだ。父上が知る前に探しださないといけないな…」
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