ぽこ・あ・ぽこ〔小説〕
□10章『遊園地・前編』
3ページ/5ページ
愛希ちゃんと俺は走って暗闇を急加速、急カーブをするジェットコースターへと並んだ。
このジェットコースターは人気で、俺達が着いた時にはもう30分待ちだった。
「美空達遅くない?」
俺は愛希ちゃんに声を掛けた。
いくら何でも遅い。
すると、俺の携帯が鳴った。
美空からだった。
『私達は違うアトラクションに乗るから二人で楽しんでね♪』
えっ!!?
まぁ田島が言ってたし。ここで拒否したらおかしいもんな。
俺は美空に返信をした。
『わかった』
「愛希ちゃん美空達違う所に行っちゃったから二人で乗ろうね♪」
コク。
愛希ちゃんは何がなんだか分からない顔をしながら頷いた。
うーむ。愛希ちゃんと何話せばいいのだろう……
愛希ちゃんは頷くだけだしな……
俺が一方的に話すのは何か嫌だし……
そう思っていると……
「雅くん……」
うん?
話しかけられた!!?
「何?愛希ちゃん?」
「雅くん今好きな人っている……?」
えっ!!!?
いきなり!!!
俺は詰まった。ここでいるよ。と答えた方がいるのか……いないよ。って答えた方がいいのか……
「それはどんな好きって事かな?」
「……えっ?」
「………」
「好きな芸能人って事……」
何だ!!そっちか!!
「うーん。いないな……愛希ちゃんは?」
「……私はSKEっていうアイドルグループが好き。雅くん知ってる?」
「あんまり知らないな……AKBみたいなやつ?」
「……まぁそんな感じかな」
ここで会話が終わってしまった。
SKEとか知らないしな。もっと俺詳しければ話し盛り上がったのかな……と思いつつジェットコースターの順番を待っていた。
そしてついに俺達の番が来た。
それに乗り物の一番前である。
俺と愛希ちゃんジェットコースターへと乗り込んだ。
ロックを掛けていざ出発♪
ジェットコースターへ乗り最初は宇宙へと向かって行く事を再現しているのだろう……
暗闇をゆっくりと上へと向かって行く。
「愛希ちゃん楽しいね♪」
「……雅くん…こんな状況で言う事じゃないかもしれないけど……私ジェットコースター無理なの………」
うぇっ!!?
「何で言わなかったの!!?」
「……だって雅くん楽しそうにしてたから……怖いから手握っていい?……」
「全然いいよ♪愛希ちゃん無理しなくて良かったのに……ワガママ言っていいと思うよ♪」
そんな会話をしているとジェットコースターは暗闇の中を落ちていった……
キャーー♪
俺と俺達の後ろの人達は元気に騒いでいる。
がしかし、若干1名を除いては……
愛希ちゃんはずっと俺の手を握り下を向いたままだった……
暗闇の中を走るジェットコースターの為次にどっちへ曲がるか、落ちるのか分からないのがこのジェットコースターの面白さ。
下を向いた方が逆に怖いんじゃないかな……
「愛希ちゃん♪下を向いてた方が怖いよ。前見てみな♪」
話し掛けた時はジェットコースターは減速していた為自分の中でもう終わったのかなと思っていた。
愛希ちゃんは俺の声掛けに前を向いた。
「……綺麗」
暗闇の中は星がいっぱいありたまに流れ星も現れる。
「そうでしょう♪」
と言った瞬間ジェットコースターは無常にもまた加速をし始めていきなりの急カーブに入った。
俺はその時カーブなんて予想していなかった為いきなり愛希ちゃんの方へと傾いた。
ゴン!
俺の頭が愛希ちゃんの肩へと強くぶつかった。
「痛っ!!」
何故かその時愛希ちゃんはめちゃくちゃ笑っていた。
まぁ痛みを忘れ愛希ちゃんが笑っているならと我慢をした。