ぽこ・あ・ぽこ〔小説〕

□8章『始動』
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そんな………真沙美が……。

なにかを察したのか美空が声を掛けてきた。

「どうしたの?雅?なんか放心状態だよ。」

「……大丈夫だよ……」

俺はそう言うと自分の家に帰った。

二人が俺の事を呼んでいたが聞く耳を持たずに……。

俺は家に帰ってシャワーを浴びて、晩御飯を食べずに布団へ潜り込んだ。

布団の中でこれからの事を考えていた俺は真沙美からのメールを返す気がなくなっていた。

田島の言葉がずっと頭の中で繰り返し流れていて、一人で考えてもいい結果が出ずにいた俺はおもむろに携帯を開きある人に電話を掛けていた。

「もしもし、蓮?」

「おう!藤やん!久しぶりやな。どないした?」

電話の相手は『野中蓮』という奴。前にも少し出たがプロ野球選手になりたいという夢を話した奴。
中学校の時大阪から親の都合で、うちの中学校に転校してきた。
転校してきた当初はバリバリの大阪弁だったがここ最近標準語で話したいと言っていた。俺とは中学校時代席がずっと隣同士で蓮は、「藤やんはいい奴やな。もう、うちら親友やな!」

その時は軽い奴だなと感じたが俺は徐々に蓮に心を開いていき、親友と呼べる奴になっていた。

「実はさ……」

俺はここ最近に起きた事を全て蓮に話した。ちゃんと話せたどうかわからないが思った事を俺はできる限り話した。

「そんな事があったのか……」

「……うん。俺どうしていいか分からなくて、蓮だったどうする?」

しばらく蓮が無言になってしまった。

「……蓮?」

「あっ!すまん!寝てた!」

寝てた!!?

「冗談や。悪い。」

冗談になってないよ。

「わいだったら、んーそうだな。めんどくさいから別れちゃうな?」

えっ!!?

「藤やんは中学校時代から考え過ぎなんよ。わいだったらすぐ別れるな。」

そんな蓮の言葉に俺の中で何かが変わった気がした。

「ありがとう。蓮」

「ええよ。なんも参考にならないかもだけどな。」

「いやいや。すごい参考になった。」

「そっか。わいにも女紹介してな。藤やんだけ幸せになったら許さんぞ。」

「わかったよ。じゃね。」

電話を切り俺の中ですっきりした。

なんでそこまで考えていたのだろう。そんな考えなくてもいいか。

無理になったら別れよう。

そんな気持ちに自分の中で変化していった。
電話を切った後、俺は真沙美にメールを送った。いつも通りに。

こんな考えは真沙美に失礼かもしれないけど、普通にこれからも真沙美に接すればいいんだ。
真沙美の過去は過去だし、いずれ話してくれるだろう。
そんな考えを俺は持ち真沙美とメールのやり取りをしていた。

時計を見ると夜の11時を指していた。俺はすっきりした途端に腹が減り、カップラーメンを食べていた。

すると、美空から電話が掛かってきた。

「もしもし。雅?今何してるの?」

「今はカップラーメン食べてる。」

「こんな時間に?太るよ!!」

「うっせ!腹減ったんだもん。仕方ないだろ!あっ!さっきはごめんな。」

「ううん。大丈夫。雅の方こそ平気?」

「あぁ。さっき急にトイレに行きたくなってさ。」

俺はこの時、美空には心配かけたくないと思ったのか嘘をついた。

「そうなんだ。心配して損したわ。カズも心配してたんだよ。」

カズ?あぁ田島か。

「カズって呼んでるんだ。ラブラブじゃん。」

「うっさい!!雅が元気だったらいいや。じゃぁね♪」

「おう」

美空にも心配かけてたのか。悪い事したな。
そして、俺はまたカップラーメンを食べて、腹が一杯になったので布団へ入り目をつぶった。
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