ぽこ・あ・ぽこ〔小説〕
□10章『遊園地・前編』
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「あんまり人いないじゃん!」
遊園地の駅に着くとパラパラとしか人はいなかった。
「何言ってるの?雅。開園まであと3時間あるんだもん♪」
3、3時間っ!!?
何するんだよ!3時間も……
「じゃみんなで並びましょ♪」
俺達4人はチケットブースがある所に並んだ。
にしても、腹が減った。
3時間も待つとは思ってなかった為朝ご飯なんて食べていない。
「あのさ、俺コンビニでおにぎり買ってきていい?」
「その言葉待ってました♪」
は?
「私と愛希ちゃんは鮭と明太子♪」
は、は??
「雅一人じゃ可哀相だからカズも行ってあげな♪」
「はぁ?」
「なんか文句でもあるの?」
「ありません……」
俺と田島は二人でコンビニへと向かった。
「田島って尻にしかれてるな……」
「うん。なんか美空には何にも反抗できないんだよね」
確かに……美空を怒らすと後々めんどくさい……
「田島がんばれ」
「何をだよ!!」
「いや。なんとなく」
「そういえば藤田にこの際だから言っておくよ。愛希ちゃんは藤田に脈ありだよ」
はっ!!?
「そんな事ないだろう……」
「前に美空が話してたろ?それに美空と愛希ちゃん結構話してて、その中で藤田の話出た時に愛希ちゃんは藤田の事好きだって言ったらしいぞ」
「ちょっと待ってくれ!!」
「どした?」
この際だ……田島に全てを話そう。
「俺さ付き合ってる人いるんだよ」
「えっ!!?誰と!!?」
「田島の知ってる人」
「誰!!?」
田島は焦ってるように見えた。
「水崎真沙美だよ」
「………っまぢかよ!!?」
「うん」
ついに言ってしまった。
だが、みんなを騙している感じでもいたし、それに愛希ちゃんの気持ちが………
「そうなのか……美空には?」
「言ってない。田島にしか話してない」
「……そっか」
その時田島は何かを隠しているように見えた
「何か俺悪い事言ってたよな。ごめん!」
「大丈夫だよ。もう自分の中で整理ついているし」
「そっか。」
「おう。これは秘密な」
「あぁ。わかった」
「藤田と愛希ちゃんをカップルにする為の遊園地だったのにな……」
はぁっ!!?
「二人のデートじゃないのか!!?」
「それもそうだけど……美空が愛希ちゃんと雅を付き合わせたい♪って言い始めちゃって俺も乗り気になったんだよな」
「そうなんだ……」
余計な事を……
その後二人は女の子が待っている所に戻って行った。
これでいいんだ!そう自分に言い聞かせて。
チケットブースへと戻るとうちらが並んでいる所は人が増えていた。
こんなに人がいるとは……
俺達がコンビニ行っている間に100人ぐらいは増えている感じだった。
「二人とも遅い!」
美空と愛希ちゃんを見つけまた列に並び始めた。
みんなでおにぎりを食べて何だかんだしているうちに開園1時間になっていた。
するとチケットブースが開き列がどんどん動いて行った。
うちら4人もチケットを買って開園ゲート前へと進んだ。
なぜか俺もここまで来るとワクワクしてきた。
意外にも俺は遊園地好きなのだ。
「テンション上がるな♪」
俺の言葉にみんな頷く。
そして開園時間になり遊園地の中へと入って行った。
「すげー!」
中に入ったうちらは走ってアトラクションへと向かう。
美空や田島は歩いていた為俺は愛希ちゃんの手を引っ張った。
「あいつら遅いから愛希ちゃん先行こ♪」
コク。
その時愛希ちゃんの手は何故か暖かった。