闇に紛れて君を探しに

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病院につくと懐かしいカラフルな髪をした頭が見えてきた

黄、青、緑、紫、桃…色からしてかつての仲間が全員いることが分かる


「黒子っち!」

こちらに気付いたのか黄瀬君がこちらに向かってきた

何時もなら笑っているはずの顔が今は涙まみれでせっかくの顔が台無しだ


黄瀬君に続きみんなもこちらにやってきた


「赤司君は大丈夫だったんですか?」

「ああ、さっき手術が終わって命に別条はないらしいのだよ」


緑間君が眼鏡のブリッチを指で上げながら言う

よく見ると彼の眼の周りが少し赤くなっている


青峰君たちも見てみると目を赤くしていた


「テツが来たら赤司のとこに行こうって話してたんだ」


「そうだったんですか」


「じゃあみんな揃ったし赤司君のとこ行こうよ」


僕たちは桃井さんの言葉で赤司君の病室へ向かった




「赤ちん…」


ベッドの上にで寝ている赤司君はいつもとは全く違く生気を感じられない

それはまるで別人のようだった―――











「ん…っ」


数時間後、赤司君のほうからそんな音が聞こえた

みんな一斉にして周りに集まる


すると赤司君が瞼を少し震わせ、目を開けた


「赤ちん!?」

「赤司!!」

「赤司君!!」

「赤司っち!?」

「赤司!?」

「赤司君!?」


みんなで一斉に声をかける

すると赤司君はうるさそうに顔を歪め、そして周りを見渡した


「ここは…」


「病院っスよ、赤司っち」


赤司君の質問に黄瀬君が答える


「赤司、大丈夫か?」


緑間君が心配そうに聞いた

すると赤司君は首を縦に振り僕たちを見た


「涼太、大輝、真太郎、さつき、敦…みんな心配をかけてすまなかったね」


深々と赤司君が頭を下げる


しかし何故かその言葉には僕の名前が入っていなかった



「おい赤司、テツのこと忘れてんなよ」


青峰君が赤司君に言う

しかし赤司君はその言葉に首を傾げ



「“テツ”って誰のことだい?」


と聞いてきた





「え…」




流石の僕も驚いて声が出てしまった



「テツは黒子テツヤくんのことだよ」


桃井さんが説明する


「クロコテツヤって誰だい?君たちの知り合いか?」


しかしまた逆に聞いてきた




「もしかして赤ちん、黒ちんのこと忘れちゃったの…?」


「忘れるも何も僕はもともとそんな名前の人を知らない、一体どうしたんだ?」


赤司君が笑顔で言う


ああ、僕はその言葉を聞いて分かった

彼は僕の存在を忘れてしまったんだ


僕は彼に忘れられてしまったのだと



彼はいつも僕に気付いてくれたのに今は見向きもしない




「…っ!!」


耐えきれなくなり思わず病室を走り去った


後ろから青峰君の声が聞こえてきたけどそれどころじゃなかった


どうして、

どうして君は僕を忘れてしまったんですか?



色を映さない
(その眼に僕は映らなかった)

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