時と空間を操る者

□始まりの国
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「さて、話を戻すわ。あなた達の願いは同じなのよ

その子の飛び散った記憶を集めるために色んな世界に行きたい

この異世界から元の世界に行きたい

元の世界へ戻りたくないから他の世界に行きたい

世界の未来の結末を変えるために他の世界へ行きたい

目的は違うけど手段は一緒
ようは違う次元、異世界に行きたいの」



聞いてて一つ思ったんだけど


俺の願い勝手に決められてない?


俺そんなこと一回も言ってないし

ていうか何で俺も旅することになってんの?


「ひとりずつではその願いかなえることはできないけれど四人一緒に行くならひとつの願いに四人分の対価ってことでOKしてもいいわ」


「俺の対価ってなんだよ」

「その刀」


侑子さんがそう言うと黒鋼は「銀竜はぜってー渡さねぇぞっ!!」と大声をあげる


しかし侑子さんは気にせず黒鋼にどんどん近付いていく


「いいわよ
そのかわりそのコスプレな恰好でこの世界を歩きまわって銃刀法違反で警察につかまったりテレビに取材されるがいいわ」

「あ?けいさ?てれ?」


侑子さんが黒鋼のことを脅す


…まああんまり意味を分かってないようだけど


「今あなた達がいるこの世界にはあたし以外に異世界へ人を渡せるものはいないから」


「んなデタラメっ!」


「本当だぞー」


ファイが口をはさむ


「マジかよ!?」


黒鋼が聞くとファイはへにゃりと笑う


「おい小僧、本当か!?」


あ、なんか俺にまで聞いてきたし


一応答えておくべきか


「本当ですよー」


いつか四月一日ができるようになるけど、今は侑子さんだけのはず


「どうするの?」


手を出しながら侑子さんは聞く

もう貰う気満々じゃねーか、その手は


「くっそー!
絶対『呪』を解かせたらまた戻ってとりかえすからな!」


そう言いながら黒鋼は刀を渡す


刀を受け取った侑子さんはくるりとファイのほうを向いた


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