絵空事

□片隅の記憶
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「イヴ…忘れ物は無い?ハンカチは持った?」

「大丈夫大丈夫っ!ほらっ、ちゃんとポケットにあるよっ!」


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お母さんに連れられて、美術館に来ました。
とっても大きな建物で、すっごくわくわくするっ!

ここにはどんな絵があるんだろう…。

「いい、イヴ?美術館の中では静かにしてなきゃダメよ?」

コクコクと小さな頭を頷かせる。
そして、そわそわとした表情を読みとったのか、お母さんは小さなため息をついて

「ふぅ…まったく。いいわ、お母さん達は受け付けを済ませてから行くから、先に見ててもいいわよ。ただし、知らない人にはついて行ったらダメよ?」

「戻ってこれなくなるぞ。」

念を推すようにお父さんが凄む。

「うんっ、わかった!」

「「いってらっしゃい。」」

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これが、最後の言葉だったかな…。

「お母さん…お父さん……どこにいるの?」

あの時、お母さん達と離れて美術館を回ってみてた。
一階には大きなお魚の絵とか、バラのオブジェ?ってゆーのかな、分からないけど…そんなのがあった気がする。

それで、二階にも展示があったから回って見ていて、そしたら大きな絵があって…急に停電して…それから、お母さんもお父さんもお客さんもいなくて…。

探して歩いてるうちに、またあの大きなぐちゃぐちゃの絵があって…今度は青いペンキが絵から垂れてたの。

そこには…

「したにおいでよ イヴ ひみつのばしょ おしえてあげる」

ってあって…下に降りたら、あの大きな魚の絵の所の鎖が無くなってて…それを覗いてたら、手を滑らしちゃって落ちちゃったんだ…それで、それで……。


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