Long story

□1Q
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帝光に入学して2ヶ月。

マンモス校なだけあって
唯一の小学校からの友達、咲菜とは
クラスが離れてしまった。

人と仲良くするのが苦手な私は、
2ヶ月間ずっと一人で学校生活を送っていたわけで・・・

「桜子ちゃん!!」

びくりと身体を反応させ、机に向いていた顔を上げる。

さつきちゃんだった。

帝光にきた同じ小学校の子は、
私と咲菜とさつきちゃんの3人。
奇跡的にもさつきちゃんとは同じクラスになったのだ。

だけど小学校のときとくに仲が良かったわけじゃないので
きっと何か用件があって私のところにきたんだろう。

「桜子ちゃんって、もう部活決めた?」

少なくともDカップはありそうな大きな胸を、
私の目の前にだして言う。
数年後にはFカップとかになってそうだ。
そんなことを思いながら少し赤面する。

「いや、まだ決まってないよ」

そういうと「よかった」と鎖骨の前あたりで手のひらを合わせて、
にこりと安堵のような笑顔になった。

「よかったら、一緒に男バスのマネージャーにならない?」

「うん、いいよ」

もとから人の頼みを断れない性で、
少しも考えずに了承してしまった。

「あ、あの・・・」

「ん?」

「私、バスケの知識ないけど・・・」

バスケは特に嫌いなわけじゃないし、
寧ろ見ていて面白いと思うけど
知識はどうかといわれたら全くなのだ。

「大丈夫だよ!!
 知識が必要な仕事は私がやって、
 とくに必要ないものは桜子ちゃんがやればいいよ」

ようは私は雑用係にまわっておけばいいのか。
雑用係は別に嫌じゃないし、
逆に言えばそれ以外はぼーっとしてていいってことなので
私は快く承諾した。




  *        *        *




無事入部もでき、新入部員の自己紹介がはじまる。

何人もの1年生が並び、一人一人自己紹介をしていく。
自己紹介といっても、好きなものやらをいうようなものじゃなく
身長、バスケ経験の有無などを言っていくのだ。
横一列に並ぶ男子達を見ていたら、
一人の男が目にとまる。

他学年がまじってる?

そう思うほどの長身だった。
180・・・いや、190はゆうに超えているだろう。
第二成長期がきたら2mは超えるんじゃないだろうか。

順番的に、もうこの人は自己紹介を終えたようだ。
聞いておけばよかったと後悔する。

「マネージャーの子は身長とかは言わなくていいからな」

いつの間にか男子は全員自己紹介が終わったようだった。
私の前にさつきちゃんが自己紹介をするから、
適当に似たようなことを言っておけばいいか。


先輩たちの歓喜の声の中、
私とさつきちゃんは自己紹介を終えた。

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