Long story

□2Q
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季節は夏になり、
とくにおおきな問題はなく学校生活を送れた。

バスケ部の何人かと仲よくなれたし、
クラスでも少しだけ友達が増えた。

―それから、あのとてつもなく身長の高い子の名前もわかった。

今日は終業式。
明日からは夏休みでほとんど毎日部活になる。

学校が終わり、帰る途中に立ち止まって、かばんの中を探る。
わたあめは朝に食べたから、わたあめはもう無い。
登校中にわたあめと一緒に買ってきたポテチを探す。

やっとみつけて、かばんからひっぱりだす。

「・・・あれ、間違えて買ってきちゃった。」

コンソメ味をかってきたつもりが、
間違えて違う味を買ってきてしまっていた。

今日はコンソメ味の気分だったのになぁ

小さくため息をつきながら、封をあけようとすると、後ろから足音。
ふりかえると、紫原君がのんびりと歩いていた。
珍しくお菓子を手に持っていなかった。

「紫原君」

「ん?」

紫原君は私に気付いて、視線を私に向ける。

「今日はお菓子を持ってないんですね」

「うんー、朝の間に食べすぎてなくなっちゃった。」

きっと、今日は半日だから少量しかもって来ていなかったんだろう。
私はポテチの袋を紫原君に差し出して言った。

「じゃあ、これあげます」

「え?いいの?」

「うん、どうぞ。
 今日はコンソメ味の気分だったのに
 間違えて違う味買ってきちゃったみたいで。」

紫原君は「ありがとー」と言って
早速封を開けて食べ始めた。

互いに無言のまま隣合わせて歩いていたけど
別れるときに
「桜子ちん、ばいばい」
といって手を振ってくれたのがこころなしか嬉しかった。

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