Long story

□4Q
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私は部活中、ずっとボールを拭いてた
A型の私はかなり丁寧にごしごしやってたけど
部活が終わってみんな帰り始めたら
一人でさびしいっていうのとめんどくさいっていうので
最後の数個を適当にふいて帰ることにした。



「あっ桜子ちゃーん!一緒にかえろ!」

校門からさつきちゃんが手を振りながら言う。
さつきちゃんのまわりには、
青峰君と緑間君と赤司君と紫原君がいた。
こんな大勢で帰るのははじめてだ。
嬉しくなって頬が緩む。
走って5人のほうにむかった。



「そういえば、二学期のはじめに体育祭あるよね」

ふいにさつきちゃんが言った。
「そうだな」と赤司君が返す。

「体育祭、みんなは何でるの?
 私はムカデ競争だよ」

一学期の終わりに、体育祭のどの競技に出るかを決めたのだ。
みんなが少しだけ考えてから、順に出る競技を言っていく。

「俺はリレーだけだったと思うけど」

「騎馬戦にでるのだよ」

「リレーと、応援合戦だ」

「んー・・・パン食い競争だっけー?
 桜子ちん、なにでるの?」

なんだったかな、
こめかみを人差し指で軽く突きながら考える。

「あぁ、そうそう。二人三脚と応援合戦だよ」

「へぇ!!桜子ちゃんの応援合戦ってなんか似合うね」

「赤司の応援合戦は、似合いすぎて普通に思えてくるな」

笑いながら青峰君が言う。

「・・・」

なんだか紫原君がお菓子の手をとめて
神妙な顔をして黙りこくっている。

「ムッ君、どうしたの?」

さつきちゃんが聞く。

「俺、やっぱり二人三脚にでる」

「・・・は?」

みんながぽかんと紫原君をみる。

「一学期に決めた競技で決定したから今更変えるのは無理だ」

赤司君が言う。
二学期が始まって1週間後という
本当の本当に二学期始まってすぐに体育祭があるため、
今更予定変更なんかしたら色々と面倒なことになるだろう

「えーなんでー?」

紫原君は意味がわからないというふうに
首をかしげる。

「っていうかお前桜子と同じ競技にでたいだけだろ」

青峰君がつっこみをいれる。
何をいっているんだと笑おうとしたら
紫原君が平然といった。

「うん、そうだよ。ってかそれ以外にどんな理由があるの?」

「お前・・・そうだとしても少しは否定しろよ」

半ば呆れ気味に言う青峰君。
そして「なんでー?」と首をかしげる紫原君。

「二人三脚に出れたとしても桜子とはクラスが違うから
 一緒に走ることはできないのだよ」

そう、そうだ。
二人三脚のペアはクラス内で決める。
クラス内というより、1組と2組、3組と4組といった感じで
2クラスのうちで振り分ける。
私は5組だから6組の人と。
紫原君は4組だから、二人三脚に出ても一緒には走れない。

「それじゃあ俺が桜子ちんのクラスにいくしー」

「・・・救いようのないアホだな」

はぁ、とため息をつきながら青峰君が言って
紫原君は「峰ちんのほうがあほだしー」といいながら口をとがらせた。




「あ、じゃあ私こっちの道だから。
 ばいばい!」

皆に手を振って、二人で皆とは別の道を・・・
・・・二人?
横をみると紫原君が普通に歩いてる。

「あれ、紫原君?」

「んー?なに、桜子ちん」

「紫原君って、あっちの道じゃないの?」

「そうだよー」

何の問題があるの、とでも言いたげに
私をみる紫原君。

「え、いいの?こっち遠回りでしょ?
 もしかしたらこっちからじゃ帰れないかもだし・・・」

「いーよ、桜子ちんの家いくから」

「ふーん、そっか。それなら・・・え?」

「え?」

逆に聞き返された。
ちょっと?え?私の家来るの?
頭の中で何度も紫原君の言ったことを再生する。
うん、聞き間違いはなさそうだね

「え、私の家に来るの?」

「・・・だめ?」

甘えるような眼で私をみていう。
不覚にもきゅんとする

「・・・いいよ、おいで」

言ってから、
もっと考えてから返事したほうがよかったなと思った。

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