Long story

□6Q
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合宿。

こういう、宿泊していくものは私は好きだ。
にこにこしている私の横で、
完全に生気のない顔をしているさつきちゃん。

「なんでこんなことになるのぉ」

そう嘆く。

元はさつきちゃんも合宿を楽しみにしていた。
それがどうしてこんなに嫌がっているかは
数日前のこと。





練習が終わり、顧問の先生のところに部員が集まる。

今日の練習を見て思ったこと、明日の練習などを話した後、
ひとつ咳払いをしてもういちど話しはじめた。

「えー、明後日の合宿だか、ひとつ謝らなきゃいけないことがある。
 申し訳ない」

そういって頭を下げる。
皆ざわざわと小声で話す。

「謝らなきゃいけないことってなんですか」

そのざわつきを制すように先生にきいたのは、
リーダーシップをとっている先輩だった。
この人のことはよく知らない。
お話でたとえるなら脇役以下の存在だ(私にとって)

先生は一呼吸置いてから、口を開いた。

「部屋割りなんだが・・・部屋を間違えてしまったらしく、
 誰か2人、マネージャーと同じ部屋で過ごしてもらうことになる。」

ざわざわと体育館は騒がしくなった。
思春期の男女が2日間同じ部屋で過ごすなんて。
私はそういったものには疎いので、まぁいいやと思っていたけど
さつきちゃんはかなりショッキングだったようだ。

「き、きいてないです!」

慌てて先生に訴えかける。

「申し訳ないが、今更無理だと言われてしまったんだ」

本当に申し訳なさそうに言う。
さつきちゃんは頭を抱えてずっと首を横に振っている。

「だれか・・・相部屋でもいいヤツいるか?」

先生が言うと、シーンと静かになった。
ほとんどの人が行きたくて仕方が無いといったような顔をしているし
手あげろよと互いに押し合っている人もいる。
堂々と行くって言うのが恥かしいんだろう。
寧ろ恥かしくない人なんて

「俺いくしー」

いたわ。

平然と手をあげる紫原君。
私と目が合うと、眠そうな目でウインクをしてきた。
思わずふっと笑ってしまう

「じゃあ一人は紫原で決定な。もう一人は?」

皆がざわつく
耳を澄ましてみると、大体の人が
「俺手あげようかな」「残り一人じゃん。どっちが行くか、ジャンケンな」
とかいう話をしてる。

「おー、もう一人手あがったな」

その声に、皆が先生の視線の先をみる。
手をあげてたのは青峰君だった。

「バッ!!やめろお前!!」

よく見ると紫原君が青峰君の手をあげているだけだった。

「いいじゃん、桃ちんいるよー?」

「べつにどーでもいいし!!女子と同じ部屋なんかいきたくねーよ!!」

必死で抵抗する青峰君。

「青峰でいいんだなー?」

先生が聞く。

「よくね「いいっていってまーす」

「それじゃあ紫原と青峰な」

「お前ふざっけんなよ!!」



そんなかんじで同じ部屋になるのが紫原君と青峰君に決まった。




だからさつきちゃんがテンション低いのはこのことなわけです。

「はあぁぁぁ〜・・・」

「まぁ、そう気をおとさないでよ。
 布団離せばいいし、隣に先生いるって言ってたし」

「うん・・・」

学校にいる間まではテンションだだ下がりだったさつきちゃんも、
バスに乗ってしまえばもう元気になっていた。
 

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