Long story

□5Q
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紫原君を家にあげ、クーラーをかける。
5分もすればすぐに涼しくなってきて
快適な部屋で二人でだらだらとしていた。

「桜子ちん一軒家なんだねー」

「うん、そうだよ」

「家でかいね」

「そうかなー」

そんな他愛も無い会話をしながらすごす。

「桜子ちんって家族いないの?」

突然可笑しなことを聞いてくるから、
思わず吹きだし笑いをしてしまう

「いるよ、普通に。」

「ふーん、なんでいないの?」

「は?」

さっきいるっていったよなぁと思って
うーんと考える

「だから、いるんだったらどうして今いないの?」

「あぁ、ごめん。なるほどね。
 兄ちゃんは高校の部活だし、共働きで両親とも帰り遅いから。」

今考えたら普通に理解できる質問を
どうしてさっき理解できなかったんだろうと
不思議に思う。

「何時にかえってくる?」

「兄ちゃんは6時かそのくらいで、母さんは7時、
 父さんはその日によってまちまち。」

「ふーん。・・・じゃあそれまでここにいるしー」

「え!?いいの?家族心配しない?」

「大丈夫ー」

紫原君のところも、共働きなんだろうか。
そう思いながら近くにあったクッションをとって抱く。


「桜子ちん」

不意に声をかけられ、我に返る。
どれくらいの時間ぼーっとしていただろうか。
結構長時間、紫原君に暇をさせていた。
申し訳なくなる。

「あのさー」

私が抱いているクッションの
端をつまみながら言った。

「俺桜子ちんのこと好きなんだけど」

突然の言葉に、驚きとかそういうものよりさきに
笑いがでてきてしまい、ふっと笑う。

「俺マジなんだけどー」

「ご、ごめん。それって、恋愛対象的に、好きってこと?」

わかりきっていることを聞いてみる。

「それ以外ないじゃん」

うん、そうですよね。
どうしようかと返事に迷う。
うーんと考えている間にも、
視界の端にクッションの端を掴む
紫原君の骨ばった指が見える。

「私も好きなんだけどね
 それが友達としてなのか恋なのか、わかんないの
 付き合うのはそういうのはっきりさせてからがいいし
 申し訳ないけど今は断らせてもらうね」

それは事実だった。
紫原君のことが好きだ。
一緒にいて楽しいし一緒にいたいとおもう。
だけどそれは他の皆にも抱いている感情であって
他の皆とは違う感情も混じってる気もするけど
それは定かではないから。

「まぁ、べつにいいけどー」

その、フラれたことをものともしないような反応に、
フっておいてなんだがちょっとがっかりする。
まぁまだ子供なんだし、そんな軽い思いだったんだなと思うことにした。

「桜子ちん、今俺のこと軽いって思ってたでしょー」

エスパーか。
ちょっと驚きながらも、照れ笑いをしながら小さく頷く。

「べつにいいっていったのは
 フラれてもなんとも思ってないってことじゃなくて
 俺のこと好きにさせるからべつにいいっていったんだしー」

その言葉にドキっとする。

「今ので俺のことちょっとすきになったでしょ?」

「その質問が無ければちょっと好きになってたけどね」

笑いながらいうと、「きかなければよかったー」って
のんびり言った。



紫原君は、兄ちゃんが帰ってきたらすぐ家を撤退した。
兄ちゃんが紫原君のことを何度も見てたから
玄関先でそのことを面白いって笑ってた。

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