Long story

□8Q
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合宿も無事おわり、1週間が経った。

「ねぇねぇっ」

「っ!!びっくりしたぁ」

部活が終わって帰宅中、
急にさつきちゃんに後ろからとびつかれた。

「どうしたの?」

「あのさ、来週花火大会あるんだけど
 一緒に行かない?」

花火大会。
私は毎年行かないと気がすまない性だ。
今年はまだ花火大会に行く予定をいれていなかった。

「もちろん、いく!!さつきちゃん浴衣着ていく?」

「うんっ!桜子ちゃんは?」

「私も着ていこうと思う」

さつきちゃんの浴衣姿。
みてみたいなぁ
そんなことを思っていると、さつきちゃんが後ろを見て声をあげた。

「あっ!やっほー!」

私も振り返ると、紫原君と緑間君がいた。

「ねぇねぇ、あの二人も誘っていいかな?」

さつきちゃんが私に聞いた。
断る理由はない。私はいいよと返した。

さつきちゃんは、二人のほうに走っていき
話をすると笑顔で二人を引き連れて帰ってきたから
きっとOKをもらえたんだろう。



  *   *   *



お母さんに着付けをしてもらい、準備をすませると
丁度チャイムがなった。

「きゃああ桜子ちゃん可愛い!!」

私を見るなり、興奮したようにいうさつきちゃん

「いやいや、もうこんな貧相な姿をみせてしまって・・・
 さつきちゃんにはかなわないよぉ」

そういうと、謙遜しすぎだよと笑われた。
ふと見上げると紫原君と目があった。
にこっとされて、思わず顔をそむける。

「桜子ちゃん赤い〜かわい〜」

さつきちゃんがにこにこしながらいう。
慌てて否定しようとすると、
さつきちゃんは私が紫原君と目があったことで
赤くなっていると思っていなかったようだ。

「かわいいからもっといってやるー
 桜子ちゃん可愛いっすっごいかわいいよぉ」

内心ほっとしながら、やめてよーとさつきちゃんを軽く叩く。

「あ」

「?」

思わず声をあげて、皆に見られる

「どうしたの?忘れ物とか?」

「あっごめん、違うの
 カブトムシがそこに・・・」

道路に、カブトムシがいただけなのに
声をあげてしまって、恥かしくなる。
私はカブトムシに近付いていく。
三人ともが、何をするんだろうという目で私をみる。

「ここにいると、車にひかれちゃうでしょ」

そういって、扇子をうまくつかってカブトムシをすくいあげる。

「なんか、桜子だと画になるのだよ」

カブトムシを草むらまで避難させたけど、
なかなか扇子から離れてくれない。
一生懸命振り回してると、三人に笑われて恥かしくなった。
赤くなりながら、結局自分の手でひきはがして
草むらにそっとおいておいた。

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