Long story

□9Q
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「私金魚すくいやりたい!」

会場につき、屋台が並ぶなかで
さつきちゃんが嬉しそうにいった。

私はおおきく息をすう。
この雰囲気が、大好きだ。
うきうきしてくる。

「あっ私わたあめかってくる!」

「あはは、あいかわらずだね」

さつきちゃんが笑う

「花火がうち上がるまで
 あと一時間なのだよ」

緑間君が腕時計をみていう

「いたっ」

「ごめんなさいっ」

かかとを踏まれ、声をあげると
しらない女の人に謝られる

「あはは、大丈夫です〜」

そういって前を見ると
三人がいない

「あれ、皆とはぐれちゃった・・・」

私はどうしようもない不安に駈られた。

とりあえずさつきちゃんに
はぐれたことと現在地を
メールで送る


「ねぇ、ひとりなの?」

ふいに声をかけられ
顔をあげる
若い、髪を染めた男の人が二人、
にやにやしながら私を見ていた

「友達を待ってるんです。」

そういうと、男たちは
しめたという顔をしていった

「もしかしてはぐれちゃったの?」

「 この人混みだもんねぇ」

私がにらむようにみていると
また口を開いた

「俺らとさがそーよ」

「・・・は?」

瞬間、腕を掴まれる。
ぐっと引っ張られ、
必死で抵抗するけど相手は男だ。
いくらふんばっても
じりじりともっていかれる

どうしよう
怖い


「桜子ちん!」

「っむらさき、ばらく・・・」

思わず泣きそうになる。

「は、何?お前」

男はさっきとは明らかに違う
声のトーンで言った

「なんでさわってんの?」

「な、何がだよ」

私でも怖いと思うほど
紫原君は低い声で言った。

「何で桜子ちんの腕にさわってんのってきいてんだよ」

「デケェだけの奴がしゃしゃってんじゃねーよ」

紫原君は男たちを睨んだ
そのめつきには私もぞっとした

「は?捻り潰すよ?」

男たちは少し後ずさりして、
ふぅっとため息をつきながらいった

「うっぜー」

「もういこーぜ。ブスは巨人とヤッてろ!」

紫原君は男たちが完全に見えなくなるまで
ずっと睨んでいた

「桜子ちん、大丈夫?」

こくりと頷いてから
口を開く

「ありがと、来てくれて。
 ・・・怖かった」

すると紫原君は、男に掴まれていた腕の手を
指と指を絡ませるように手を繋いだ

「怖い思いさせてごめんね
 ・・・守るから、桜子ちんのこと」

こくりと頷く
周りに人はいたけど
二人だけの時間が流れてた

「紫原君。・・・好き」

紫原君は握っていた手に力をこめた

「知ってる。顔あげてよ、桜子ちん」

言われる通り顔をあげる
紫原君と目があう
とても真剣な、まっすぐな眼をしてた
私は自然と目をとじる


ちゅ。


唇が重なり、リップ音が小さくたつ

「次は俺のこと大好きにさせるし」

「・・・もうなってる」

もう一度重ねる唇。
私の心は満たされていた。




「あっいたよ!桜子ちゃー・・・
 ミドリン、あとでまた来よう」

「?どうして今声をかけないのだよ?」

「いーのっ!」

「・・・?」

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