少女よ翼を抱け

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「これが俺の船だ!カッコいいだろ!」

『可愛いの間違いじゃない?』



辿りついた沿岸部には、山羊の船主が取り付けてある船がありました。





*     *     *





「かぁわいい〜!おいおいルフィ、どこでこんなレディを拾ってきやがった?!」



金髪の男が、叫ぶ。



「うっせーなァ。一生やってろラブコック」



緑の髪の男が、毒付く。



「久しぶりね。結局折れたんだ?」



オレンジの髪の女が、話しかける。



「貴女が描いた絵、部屋に飾ってあるわよ。素敵な絵ね」



黒髪の女が、微笑みかける。



「お前・・・大変だったな。同情するぜ。後さっきの絶叫はナイスだ!」



長鼻の男が、同情と笑いが混ざり合った眼差しを向ける。



「ななこだ!久しぶりだなー、さっきの声凄かったぞ!」



人形の様なトナカイが、話しかける。



「どうだ、これが俺の仲間だ!」



ルフィが、そう言った。



『こ、個性的・・・?』



―――正直、その言葉以外見つかるものが無かった。

ジャングルを駆け抜け、着いた先はこの「ゴーイングメリー号」という船が停泊してある沿岸部だった。
しかし到着したのも束の間、ルフィはおろすどころかそのまま船の甲板までジャンプしたのである。
お陰様で私の叫び声は自身の耳の鼓膜さえ傷付けるほどの大ボリュームとなってしまった。
そして甲板へ着けば、先程の叫び声で驚いた表情をする面々。
・・・死にたい、切実に。
だがこの船の人間はどうやら優しさと言う言葉があるようで無いらしい。先程の絶叫を包み隠さず爆笑した。ある一部の人間達を除いて。

そして、今に至る。



「んじゃま、まずはお前からだな。じこしょーかい」

『不思議・・・ルフィの自己紹介と言う台詞が平仮名で脳内に再生される』


「ルフィは元々馬鹿だからね〜。ま、そんなものそんなもの。ま、仲良くやりましょ!私アンタの事結構歓迎してるの!」



同世代の船員なんてここにはいないし、良い友達になりましょ!
と、ナミは友好の証として手を差し伸べてきた。


『有難う・・・御座います?』

「やーねー堅っ苦しい!仲間なんだから、気楽に、ね?」

『・・・うん、よろしくね』

「こちらこそ!」



私はおずおずと手を差し伸ばしながらも、この世界で初めて友達という真柄になったナミに、笑みを浮かべる。
ナミも同時に笑みを浮かべ、指し伸ばした手をその暖かい手で握ってくれた。

何だか、嬉しい。



『―――私、ななこ。真翼ななこ』

「そ、じゃあななこね」



初めてナミに呼ばれた自分の名前に、私ははにかみながら応えた。
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