少女よ翼を抱け

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「ルフィ、すぐに上陸しちゃ駄目よ!大体何でアンタはななこを巻き込もうとしてんの!」

「いいじゃねーか!俺はななこ連れてくぞ!」

「何でよ!」

「冒険するからだ!」



いや理由になってねーよ!
ナミとななこの内心の声が重なる。
しかし半面、ルフィは至って普段通りだ。ななこが放心している間に、腕を引っ張って連れて行こうとする以外には。



『ってルフィ!私行かないから!』

「何でだよ!」

『何もないからって危険が無い訳ないじゃん!』

「お前つまんねー奴だな!いいか、島があったら冒険すんのが海賊だ!」

『ほぼ無理やり入らされたけどね!』



ぎゃーぎゃーと騒ぎ立てるルフィとななこ。
じゃあ無理やりじゃなかったら入らなかったのか、普通なるもんじゃない。そんな声が飛ぶ。
そんな2人の様子にナミは溜め息をつき、腕を組む。どうにかルフィを止めてこの馬鹿騒ぎを止められないかと。
一方、ななこと言えばルフィの我儘加減に少々涙目になりながら何とか逃げ切ろうと論を飛ばす。
思えば最初会った時から横暴な人柄だったが、流石に精神的に疲労している上に何があるか分からないこの地に降りるのは遠慮したかった。
まあ、このまま旅を進めれば必ず陸に着地することにはなるのだが、流石にそれは今で無くとも言い気がする。
・・と、いうのがななこの考えだった。



『ていうか、他連れてけばいいじゃん!』

「ウソップとチョッパーはくんぞ!」

「えぇ、俺も入ってんのか?!うぅっ・・・!持病の島に入ってはいけない病が・・・」

「船大工、いるかなー」



名前を挙げられた2人、いや一人と一匹は別の反応を示す。
臆病であるウソップは十八番である嘘を、チョッパーは呑気にも普通の反応だ。
島に行きたくない派であるななこにとってはウソップが心の拠り所ともいえよう。ウソップと同じ病を持っているとアピールする様に、胸を抑えウソップの様な台詞を吐く。



「おっし行くぞー!」

「『ぎゃー!』」



逃げ腰だったウソップとななこはルフィに腕を掴まれ、元々島に行く気満々だったチョッパーは自分から船を降りて行く。一方ルフィは2人を腕を掴むと、勢いよく船から降りて地面に着地した。
その間2人はと言うと着地に失敗し、ま正面からずっこける形となってしまった。



「いでっ!」

『いだっ!』



頭を強打し、額を抑えるななことウソップ。
しばし沈黙し、ウソップは胡坐をかく姿勢へと入る。


「・・・なあ、ななこ。同盟組もうぜ」



―――突然、涙目になったウソップがななこにそう問いかけた。
その目にはななこの見覚えのある―――そう、それはななこと同じような目だ。
おそらく何かと気が合うななこに気質も似ていると感じ取ったのだろう。#NAME2##にもそれが感じ取れたらしく、憐みの目と、同情の目と・・兎に角そんな感情の入れ込んだ目で、ウソップを見つめる。

―――同志よ。

心の中でそう呟いて、ウソップとななこはお互いに握手をした。





初めての着地
(初めて着いた場所は、何もない場所でした)
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