単編
□暑い部屋
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ごく最近閉店したばかりのホテルの最上階のフロアを仕事の待機場所としてミユ達は滞在していた。
クロロにここへ呼ばれて4日が経とうとしていた。
夏の暑い日で内装こそ綺麗だが電気も水道もガスも通っていない部屋はとても暑かった。
気休め程度に窓を開けるも風は少しも入ってこなかった。
「おい!おめぇーなんつう格好してんだよ!」
窓際に座ってスマホゲームをしていたミユは顔を上げ部屋に入って来た3人組へ目をやった。
『なんつう格好って?』
「その、なんて言うか、女が下に何も着ないでオーバーオールとかやべーだろ」
『どうして?』
若干焦った様子のフィンクスにミユは真顔で聞き返す。
「どうしてって見えんだろーがよ!その…胸が」
『胸?』
ミユは不思議そうに自分の胸元に目をやった。
『別に見えてないけど?それにニップレス付けてるし』
「見えてないって…はみ出てんだよ!横から!ニップレス付けてるか付けてないかなんて関係ねーんだよ!」
ムキに怒鳴って来るフィンクスにミユは眉間を寄せ少し後ろに立っていたシャルナークとフェイタンに視線を移せば二人とも唖然と立ち尽くしていた。
『ハァ』
心底面倒くさそうにため息をつくとミユは干してあったタンクトップを取り3人に背中を向けてオーバーオールを腰の辺りまで脱いだ。
そしてタンクトップを着るとその上からオーバーオールを着直した。
『私のハミ乳くらいで欲情しないでよ。これ1枚増えただけで暑いんだから』
文句を言いながらミユは元いた場所へ戻りスマホへと再び目を落とした。
その姿を見ながら咄嗟に出た言葉をフィンクスは少し後悔した。
そしてシャルナークとフェイタンも同じ気持ちのような表情だった。