Short (1)

□エース様からの甘い贈り物 *
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そして数分後。誕生日ケーキでは定番である苺のショートケーキを片手に部屋に戻ると、自分から言い出したのにも関わらずに高尾はガチガチに緊張して固まっていた。


恥ずかしいのならば最初から言い出さなければ良かったのでは…?


と思ったが、今更やめるつもりなどない。一度やると決めたことは最後までやり遂げなければ気が済まないからな。


オレはショートケーキを机に置き、カチコチに固まる高尾の目の前に腰を下ろした。そして声を掛けてみる。


「高尾」

「ひゃい…!?」

"ひゃい"とは何だ。もしかしなくても"はい"と言いたかったのか?というか、先程から本当に緊張しすぎなのだよ!!こっちまで変に緊張してきたではないか!!

オレは照れ隠しに咳払いを一つして、高尾との距離を縮める。そして顎をグイッと掴み、互いの視線を合わせる。

「高尾。口を開けるのだよ」

「し、真ちゃん…!ほ…んとにするの…!?オレちょっとした冗談のつもりだったんだけど…!」

「オレに冗談が通じるとでも思ったのか?馬鹿め」

「ん…!?」

ケーキを一口、自分の口の中に含み、半ば強引に高尾の唇を塞いでやった。そして動揺してガチガチに強張っている高尾の髪を撫でながら口内にケーキごと舌を押し込んだ。

「ん…ぅ…!ふ…ぁ…」

生クリームの甘ったるい味。そして苺の甘酸っぱい味が互いの口内に広がっていき、思考までもが甘く痺れていく。
高尾もオレと同じなのか段々と表情が甘く蕩けていく。そしてケーキを味わうように控えめにオレの舌を舐めた。そのたどたどしい舌使いが厭らしくて理性を刺激されるようだ。

「んっ…、はぁ…!」

そしてゆっくり舌を引き抜かれ、高尾は息を整えようと呼吸を繰り返した。

「で…、どうだったのだよ…?ケーキは美味かったのか…?」

感想を聞いてみると、高尾は恥ずかしそうにオレの肩に顔を埋めて、こくこくと頷く。

「うぅ…、美味かったよっ…!真ちゃんが食べさせてくれたから…普段の何倍も…甘かったし…!」

「そうか…」

その言葉を聞けば、普段のオレなら"何を馬鹿な事を言っているのだよ!!"と照れ隠しで怒鳴ってしまう所だが、今は素直に嬉しいと思った。
オレは高尾の額、瞼、頬に口付けを落としていく。

「ひゃっ…!?真ちゃん…!?」

「なんだ?」

「今日はすげぇデレ期到来…だね…!?ほ、本当にどしたの…!?」

「誕生日の時くらい、お前を甘やかしても良いかと思っただけなのだよ」

「そ、そーなんだ…!って、えぇぇ!?」

なんだ、その驚きは。オレがお前に甘やかそうとしている事がそんなに不自然か。
それより高尾の方こそ先程から不自然だ。挙動不審というか、いつもの押しが今日は全くない。普段は押せ押せに自分から迫り寄ってべったりと甘えてくるというのに。何故に今日に限って甘えてこないのだよ。

「お前こそ、何故今日は甘えてこないのだよ?いつもは鬱陶しい程にくっ付いてくるのに」

「うぇ…!?だだ、だって…!」

「?」

何故体をモジモジとさせながら俯く?今日の高尾は本当に控えめな行動ばかりする。いや、控えめな高尾を見るのもたまには悪くないと思うので別に構わないのだがな。

すると、顔を真っ赤にしながらポツリと呟く。

「だって…!オレ…押されるのが苦手だもん…!」

「押されるのが苦手…?」

どういう意味だと思いながら高尾を見つめる。すると高尾は自分の両人差し指をツンツンとしながら答えた。

「自分からガンガン押す方は別に構わないんだけどさ…!でも…真ちゃんから押されると、何か…!恥ずかしくなっちゃってさ…!ど、どうしたら良いのか分からなる…」

「……!!」


こいつは…!頬を紅潮させながらそんな事を言うとは…!まさかわざとオレを誘っているんじゃないだろうな…!?本当にオレの理性を完全崩壊させる気か…!!


「お前は…!」

「え…?何…?真ちゃん……、って近ッ!?真ちゃん待って近い近い…!!」

ズイズイと高尾をベッドの方まで迫って、逃がさないように互いの距離を縮める。高尾はひどく混乱しながら後退りしていくが、ベッドの方に手をかけた瞬間、自分に逃げ場が失ったと理解したらしい。
余程混乱しているのだな。普段の高尾なら鷹の目(ホークアイ)を使って全体を見渡し、素早く逃げ出すかと思っていたのに。

まぁ、オレにとって今は好都合だがな。

オレは意図も簡単に高尾をベッドに押し倒し、耳元で低い声音を囁き掛ける。

「オレの理性をわざと崩す気か…?」

「え…?んっ…!?」

そして今度は普通の深い口付けを交わした。口内の中に舌を挿し込み高尾の舌を攻め立てると、甘ったるい声が漏れる。

「ふ…ぁ…!ん…ぅ…、し…ん…ちゃ…、んむ…!」

「ほら高尾…、いつもみたいに甘えろ…、んっ…」

「んん…!」

さ迷っていた高尾の手がオレの背中に当たり、そのままぎゅうっとしがみついてきた。
そしてとろとろと蕩けた表情でオレの名を呼ぶ。

「ん…はぁ…、しん…ちゃん…」

「何だ…?高尾…」

耳元に吐息が掛かるくらいに囁いてやると、高尾はうぅ…と恥ずかしそうに唸った。そして自分の顔を隠すように両手で覆い、ポツリと呟いた。

「じゃあ…、今日はいっぱいオレを愛してっ…。真ちゃんの…身体でさ…」

いつもは高尾から積極的に誘われる事が多々だが…、たまには悪くないな。こうやって恥じらいながら誘う高尾を見るのも。

オレは口元から笑みを浮かべて高尾の両手を掴み、顔から手を退かした。

「ちょっ…!真ちゃん…!?」

すると高尾は涙目になりながら顔を真っ赤に染めていた。そしてあわあわと慌てて、なにかで顔を隠そうとするが、そんな事はさせない。

「顔を隠すな。これでは何も出来ないだろう?」

「う…!」

「オレに愛されたいのだろう…?」

額に口元を落として囁き掛けると、高尾は観念したように小さくこくんと頷いた。そして両手の力を抜いて無防備になる。

「うん…。真ちゃんに愛して…欲しい…よ?」

「ならば顔を隠すな。たくさん愛してやるから…」

「ひゃっ…!」

首筋に息を吹き掛けて甘い言葉を囁くと、高尾は一瞬ビクリと反応する。
相変わらず敏感で感度の良い奴なのだよ。これならば乱れさせてやる事も簡単だな。

オレはそのまま高尾の首筋に舌を這わせて、強く吸い付く。そう…こいつはオレだけの物だと印を付けるように。

「真…ちゃん…!ま、待って…!そこは目立つ…!誰かに見られたらどうすんだよ…!」

「そんなの見せつけてやれば良いのだよ」

「うぇっ!?」

そうすれば誰も高尾を狙おうだなんて考えないだろう。前々から思っていたが、高尾は自分が皆に好かれているという事に自覚が無さすぎる。
こいつは誰彼構わず愛想を振り撒くからな。そのせいでどれだけ同じバスケット部員の奴が高尾を狙っているかなど…、考えたくもない。


高尾はオレだけの物なのだよ…!


「んっ…ぁぁ…!真…ちゃぁ…ん、く、擽ったい…!んっ…んっ…!」

「だが、気持ち良いんだろう?さっきから反応が良いぞ?」

「んにゃ…!ふっ…ぁぁ…!」

首筋をつぅっと…、線を描くように舌を這わせて徐々に舌に下がっていく。そして鎖骨付近に到着したのでそこにも自分の印を付けてやる。

「ふ…、ん…!真…ちゃん…!あ…、ぁぁ…!」

鎖骨付近に印を付けている間に、空いている手で高尾の制服の中に侵入する。そして胸の先端をギュッと指先で摘まむ。

「やっ…!ぁ…!」

摘まんだ瞬間、高尾の体はビクリと強張る。本当に敏感な奴なのだよ。胸の先端を摘まんでいるだけなのにもう下半身が反応している。

そのまま気持ちよくしてやるように指の腹で先端をぐにぐにと弄ってやると、高尾の下半身が徐々に勃ち上がっていくのがズボンの上からでも分かる。

「ひゃ…ぁ…!真…ちゃ…!ち…くび…触ら…ないでぇ…」

「何故だ?気持ち良いのだろう?」

「だって…、もう…おかしく…なっちゃい…そうだもん…!」

ただ弄っただけでもうおかしくなるとは。いくらなんでも感度が良すぎるのだよ。しかし、オレはそんな高尾も嫌いではなかった。むしろもっと乱れさせてやりたくなる。

「だったら、これはどうなのだよ…?」

「あぁっ…!」

制服の釦を素早く外して高尾の艶かしい肌を露にする。そして赤子のように高尾の胸の先端を口に含んで舌先で刺激してやると、高尾の艶かしい声が部屋中に響き渡った。

「やぁっ…ん…!真…ちゃ…、やだっ…、刺激…強…すぎる…!」

「お前は舐められるのが弱いからな…、ほら、もう此処も勃ち上がっているのだよ」

グッと膨れ上がっている下半身を左手で揉んでやる。

「んぁっ…!や…ぁぁ…!やっべぇ…、も…気持ち…良いっ……」

「そうみたいだな、もうガチガチなのだよ。お前の此処は」

ぐにぐにと更に力を加えると、高尾を気持ち良さそうに反応していた。そして揉めば揉むほど高尾の下半身上はガチガチに硬くなり勃ち上がっていく。

「だっ…てぇ…、真…ちゃんの左…手…!気持ち良いもん…!あぁっ…!ふぁ…!」

「ふ…、お前は本当に可愛い奴なのだよ…」

「ふぁぁっ…!」

耳元で甘く囁いて吐息を吹き掛けた途端、高尾の身体は激しく痙攣した。そして左手に何かが漏れた感触と生温い温もりを感じた。

これはもしかしなくても…

「高尾…、もう絶頂を迎えてしまったのか…?」

そう問い掛けると、高尾の顔がかぁぁっと茹でタコのように真っ赤に染まった。この反応を見る限りでは図星のようだな。

「ふぇぇ…!だって…、だってぇ…!う…ぅぅ…」

「誰も怒ってなどいないだろう」

泣きそうな顔をする高尾を目尻に口付けをして、舌で涙を拭い取る。そしてくしゃりと頭を撫でてやった。

「高尾。次はどうして欲しいのだよ?お前の望み通りにしとやる」

「あ……ぅ……」

じっと高尾を見つめて次の言葉を待つと、高尾はオレの膝の上に跨がり始めた。
そして顔を俯かせて恥ずかしそうにぼそぼそと呟く。

「も…ぅ…、我慢…出来ないから…!真ちゃんの…ちょうだい……?」

「!?」

指ではなくオレのモノを欲しいとねだった事に驚いてしまい、思わず高尾の肩を掴んだ。

「しかし…!まだ解れていないだろう…!?」

「だって…!もう我慢出来ねぇもん…!真ちゃんのが欲しくて欲しくて…!仕方ねぇんだもん…!」

「高尾……」

また高尾はじわりと涙を浮かばせながら大きな声で言ったので、その事にも呆然としながら驚いた。

「あのね…、真ちゃん…」

「なんだ…?」

「オレ…、たまには真ちゃんにめちゃめちゃに抱かれたい…んだよね…。いつも真ちゃんは意地悪な事をしても…最終的には優しくするし…」

「……」

「あ…!勘違いすんなよ…!普段のエッチが物足りないって訳じゃないからな…!ただ…、たまには刺激の強いエッチもしてみたいって…思うんだよ…。だから…その…」

そこまで言うと照れくさくなったのか、高尾は黙り込んでしまった。


全くこいつは…!オレを煽るのは天才的すぎるのだよ…!そんな事を言われてしまったら、本当に滅茶苦茶に抱きたくなるだろう…!!


オレは高尾の胸元に顔を埋めて、ギュッと力強く抱き締める。

「し…真ちゃん…?」

「お前は本当に…ドMな奴なのだよ…!」

「ど…、ドMって酷くない…?」

「煩い。事実なのだから仕方がないだろう」

「うぅ……」


本当に参った。オレがこいつを喜ばせてやらなければならないのに…!結局はオレばかりが喜ばせて貰っている…!全く…、腹立たしい話なのだよ…!!


「高尾…、後悔しても知らんぞ…?お前から言い出した事なのだからな?」

確認するように言うと、高尾は嬉しそうに微笑んでオレの背中に手を回した。

「うん…!真ちゃん大好き…!」


そんなのオレもなのだよ…。


そう思いながら高尾の艶かしい唇を再び塞いでやった――。

 
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