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□first live
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「ノンアルコールカクテルて、ノンアルコールなのに買う時年齢確認されるて侑士さん知ってました?」
ぷしゅ。
プルタブを起こす。
直に口を付けて喉に流し込んだのは微妙にライム味のノンカロリーノンアルコールの炭酸飲料。
ノンアルコールだってのにコンビニでは売ってくれないのが腹が立つ。
「そーゆーの建前て言うねんやろ?しゃーないやん、…て自分。それ、その缶なんやねん…」
「モヒート風ゼロカロリー炭酸ですわ」
ゼロカロリーですよ?
そこを大々的に主張しつつ、ぐびぐびと缶の中身を飲み干していく。
「もー少し遠慮して飲まれへんのかほんまに…」
「遠慮も何も、これただの味付いた炭酸ですやん」
「男らしいやっちゃ…」
「そらどーも」
俺のベッドの上。
侑士さんはうつ伏せになり組んだ腕から視線だけ俺に投げ掛ける。長い脚をぷらぷらと動かし、何をするでもなくゆっくりと瞬きをしている。
「暇ちゃいますか?」
「なんでや?」
「侑士さん飲まへんの?」
「…んー。炭酸なんやろ?」
冷えた缶を片手に、PCに向いていた椅子をくるりと反転させベッドを向く。
ギィ、と椅子が嫌な音をたてた。
「炭酸嫌いでした?」
「や、平気」
ごろん。と侑士さんが寝返りをうって仰向けになる。
「…なんやエライ気になりますわーその態度ー…」
この人には自覚というものが足りないとつくづく思うのだけれど。
なんなんだろう。
一体この独特の甘い匂いはどこから零れてくるのか。
色っぽい。
そう。
何をしてても、些細な仕草や表情一つとっても。
ぞくぞくと背中を這い上がるいけない妄想にすぐに捕らわれそうになる。
「ん?…どうした?財ぜ…」
両腕で挟み込むように侑士さんの耳のすぐ横に手を突き、上下逆さに見える半開きの唇にゆっくり近付いて食べ物でも頬張るようにそこを塞ぐ。
「んっ」
わざとらしく音をたてて小さな赤い唇を吸い、舌を這わせてはまた塞ぐ。
「ぁ、ん…ッ」
びくりと揺れる胸元が見えて侑士さんの長い指が俺の髪を力無く押す。
柔らかい。
まるで意思を持った生き物のように狭い口内を逃げ惑う舌を絡め取って俺の口内へと誘い込み吸い上げる。