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□ピンク
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肩幅の割に侑士の肩は小さい。
骨が細い気がする。
「痛かったやろ?ホンマ、すまん…痣なってるかもしれん」
「かまへんかまへん、全くいきなり何のスイッチ入ったねん…ビビったわ」
深呼吸しながら侑士は袋の口を開け、中に入っていたピンク色した楕円形の飴ちゃんを唇で挟んで取りだし、俺の目の前でぱく、と食べてしまった。
「ほれ、自分も、嫌いやないんやったらいつまでも握ってへんで食ってまったらどないやねん。溶けてまうわ」
「あ、…あぁ、せやな…」
動揺しながら俺も侑士がやったように飴ちゃんを口に放り込む。
あー。
ちゃんと桃の味やー、この飴ちゃん…
妙に感心しながら舌の上でコロコロと転がすと、時折歯とぶつかって固い音がする。
「…美味いな、この飴ちゃん…」
「せやろ?最近お気に入りやねん」
肩をすくめながら侑士が笑う。
「これで謙也ももてもてなれるかもしれへんしな」
侑士の表情に合わせて揺れる髪がやけに色っぽく感じて、俺は桃の味した唾をゴクリと喉を鳴らして飲み込んだ。
「は?なんやモテモテて」
クスクスと侑士は笑い続ける。
「ははっ、桃花運て言うてな?桃食うとええらしいで?」
「何?とうかぅん??え?なんやそれ!」
「たまには自力で調べぇや〜この馬鹿力〜」
「!!やっぱ肩痛むんか!!な、ちょっ!おい!侑士!ちょい見せろ!」
笑いながらゆっくりと侑士が歩き出す。
桃の香がふわりと漂う唇で俺をからかいながら。