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□邪魔な眼鏡や
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ぴったりと密着するように肘から手のひらまでをロッカーに張り付け、ロッカーと俺とで侑士を挟み込む。
「勝手に殺すなや…口が過ぎるで…?侑士…」
「そんなん言うたかて、そろそろヤバイんちゃうかて自分も考えてんのやろ?」
「やから言うてくれるな言ってんねんて!!!」
もう俺半泣き。
侑士の肩に額を落とした俺の頭をよしよし、と侑士が撫でてくれる。
「ほれ、早よ風呂ってき。男前が台無しやで」
「ゆぅううしぃぃぃぃ…」
「あーもー…デカイ図体してどこのガキやねん」
それでも頭をぽんぽん、としてくれる侑士の手と濡れた髪が冷たくて気持ちいい。
僅かに香るシャンプーの匂いも相まって、実はちょっと離れたくない。
「ほれ、いつまでへたってんねん」
「…もうええねん」
「何がや」
「俺は腹をくくったねん」
「あ?あー。ミカエ「カ!ブ!リ!エ!ル!!!」
ぐゎば!
と顔を上げ、
「おい、侑士、自分わざとやな!?わざと言っとるやろ!!」
「…あんなー…わざとも何も俺かぶと虫興味無いねんで?」
心底うんざりした顔で侑士が項垂れる。
「なら覚えろ!覚えるんや!覚えてくれ侑士!!!俺の可愛い可愛いかぶと虫の名前はカブリエルやと!!!」
「はいはい…カブリエルね…カブリエル…」
「頼むでほんまに」
「ええよええよ…」
すっかり目が細くなってしまっている侑士の顔を覗き込んだ。
濡れて長さが増している前髪が邪魔してよく見えない。
「…なんや、邪魔やな、これ…」
「え」