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□譲れへん
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「ったく…!お前等はどんだけ俺に恥をかかせば気が済むねん…!」
人の目から逃げるように構内を脱出し、白石と2人、チャリンコを押しながら侑士を挟んで3人で歩く。
「す…すまん侑士!」
「わざとやないんや!」
「当たり前やがな!わざとやったら道頓堀に身投げしてもらうところや!」
「身投げて…」
たまに行き交うバスの影。
「すまん!ほんますまん!侑士!でもこれだけは解ってくれ!」
侑士の不機嫌にまみれた目が白石を捕らえた。
「俺は、謙也と違ってお前と親戚なわけやない。しゃーない事やねんけど、謙也より連絡少ないねん。侑士…俺…そんなん嫌なんや…出し抜かれとうないねん。そんぐらい惚れとんねん。分かるやろ?」
「なっ!ちょい待てや白石!!なんやその俺はただの親戚ですみたいな言い種は!!」
なんちゅー最低な男やコイツは!
「それは…」
ほれ見ぃ!白石の押しに侑士が口隠る。
「侑士…!あかん!ほだされんな!」
チャリンコをガードレールにガシャンと投げ出し、侑士の両肩を掴んで顔を覗き込む。
「親戚とか今はそんなん一切関係無い!何でそーお前は押しに弱いねん…まぁそこが可愛ぇったらそこまでなんやけど…」
「なら俺とどぎゃんね?」