00

□譲れへん
3ページ/6ページ

「ったく…!お前等はどんだけ俺に恥をかかせば気が済むねん…!」

人の目から逃げるように構内を脱出し、白石と2人、チャリンコを押しながら侑士を挟んで3人で歩く。

「す…すまん侑士!」

「わざとやないんや!」

「当たり前やがな!わざとやったら道頓堀に身投げしてもらうところや!」

「身投げて…」

たまに行き交うバスの影。

「すまん!ほんますまん!侑士!でもこれだけは解ってくれ!」

侑士の不機嫌にまみれた目が白石を捕らえた。

「俺は、謙也と違ってお前と親戚なわけやない。しゃーない事やねんけど、謙也より連絡少ないねん。侑士…俺…そんなん嫌なんや…出し抜かれとうないねん。そんぐらい惚れとんねん。分かるやろ?」

「なっ!ちょい待てや白石!!なんやその俺はただの親戚ですみたいな言い種は!!」

なんちゅー最低な男やコイツは!

「それは…」

ほれ見ぃ!白石の押しに侑士が口隠る。

「侑士…!あかん!ほだされんな!」

チャリンコをガードレールにガシャンと投げ出し、侑士の両肩を掴んで顔を覗き込む。

「親戚とか今はそんなん一切関係無い!何でそーお前は押しに弱いねん…まぁそこが可愛ぇったらそこまでなんやけど…」

「なら俺とどぎゃんね?」



次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ