氷帝×不二

□ロビンちゃん。
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「景ちゃんもサボテン好きなの?」

「そういう訳じゃねぇよ」



跡部の部屋にやってきた不二。
ふと、ついこの間はそこに存在していなかったサボテンに気付いた。



「ふぅん」



窓の外を向いてしまった跡部の顔は見えない。
不二は小ぶりなサボテンに視線を戻してジッと見つめる。

跡部はそんな不二を振り返る。
が、その表情は横髪に隠されてしまって見えない。

小さな舌打ちは不二の耳には届かない。



「ロビビア、だね。」

「あぁ、」



丸みのある、スタンダードなサボテンらしいサボテン。
その棘をツンツンやる不二。
そんな嬉しそうな姿に跡部の頬は知らず知らず緩んでしまう。



「ねぇ、名前つけても良い?」

「アーン?」



訊ねる不二が跡部を振り返った。
締まりのない、だらしない顔を見せるまいと跡部はまた窓の外へ視線を向ける。



「ロビンにしよっかな。」



なんだ、そのセンスねぇ名前。と跡部は内心で呟く。
その上ありきたり。



「良いんじゃねぇの?」

「ふふっ、大切にしてね。」

「当たり前だろ。」



当たり前だろ。
お前の喜ぶ顔が見たくて買ったんだぞ?何が何でも花まで咲かせてやるよ。



「イジワルしないでよね。」

「当たり前だろ。つーかサボテンにイジワルってなんだよ。」



ハァっと溜め息を吐いた跡部の視線は無意識に不二へと向かう。



「…やだ、景ちゃん。みっともない顔!」

「っるせぇ!」



溜め息吐いたクセにニヤニヤ笑っちゃって!と不二が手を叩く。
たちまち苦い顔になった跡部に不二は言う。



「ねぇ、大切にしてね。ロビンちゃん。」

「オンナかよ…」

「ふふっ、嫉妬しちゃうかも。」

「しても良いんだぜ?」



当たり前だろ―――…

そのサボテンを大切にするということは、お前を大切にすることと同義であるのだから―――…



END...

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