四天宝寺×不二

□恋人の呼び方
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「しーらーいーしぃー…」

「なんや、不二クン」


なにやら不貞腐れたように自分の名を呼ぶカワイイ子。
読みかけの雑誌を、逆さに置いて目を合わせると澄んだ瞳がこちらを見つめ返していた。


「・・・・・。」

「・・・・・。」

「なんやそないに見つめられたら照れてまうわ」

「白石」

「おん?」


依然として見つめ返してくるだけの不二クンに痺れを切らして口を開いたは良いものの、イマイチぱっとしない反応だ。
不自然なやり取りに思わず首を傾げる。
一体この子はどうしてしまったのだろうか?


「白石」

「おん、白石やで?」

「・・・・・。」


もう一度同じように呼びかけてくるので、あやす様にサラサラの髪に指を通しながら応える。


「…蔵ノ介」

「・・・・・っ!」


今度は下の名前。
不二クンにそう呼ばれるのは初めてだ。一瞬ドキリと心臓が跳ねた。
けれど、目の前の恋人は 何か納得いかない様子でギュッと眉根を寄せてしまう。

どないしたんやろ?


「・・・・・。」

「・・・・・。」


気難しい顔の眉間の皺を伸ばしてやりながら不二クンの出方を窺うことにした。

一方 不二クンは「うーん」と唸るようにして
同じことをしばらく繰り返してから パッと顔を上げた。



「くーちゃん!」



満面の笑みで言う不二クン。

とうに皺が消えてしまった眉間から指を退けることも忘れて、空いた手で自分の口元を覆った。




「アカン、可愛すぎやろ…///」




END...

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