四天宝寺×不二

□愛と平和と、謙也。
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謙也が、あの時『あー…』と漏らした理由をお話しよう。

“あの時”というのがどの時か、というと色々と厄介なのであるが、
簡略化して言うなれば、白石の想い人に、よく分からないけど『あー…』となった時と、
それから財前の宣戦布告によく分からないとかではなく『あー…』の時のことだ。

思い出せない場合はブラウザバックで前々話、前話を。
そのまま放置も可。



「あー…」



今日の謙也は半分溜め息のように『あー…』。
何が?って先日のコーラとアクエリアス(今回はそういうのはナシ)の時のことなのだけれど。



「どないして2人揃ってそうなんねん…」



ひとり呟いて、謙也は空を仰いでいた。
のだが彼は自分の部屋のベッドに転がって物思いに耽っているので実質的には天井。

謙也はとても悩んでいた。



「あかーん…」



ぽつりと言ってみたところでどうにもならない謙也の悩みの種は、



「………不二周助」



であった。

夏の全国で、謙也は不覚にも一目惚れていた。
話題の“不二周助”に。

それは彼の試合を見る前の出来事で、
謙也としては『絶対俺のんが先やった』と文句タラタラ。相手は白石。

惚れた腫れたに先も後もないけれど、そうでもしないとやってられなかった。

財前に関してはちょっと、いつの話かわからないから保留。

つまり、何が言いたいかと言うと。
謙也は思わぬライバルの出現に滅入っていた。



「なんでアイツらまで惚れとんのや、ほんま。」



つまり、
『相手が不二なら惚れるんも無理ないわ』→『あー…』と。
『なんやお前もかいな』→『あー…』というワケだ。

白石のカミングアウトですっかり自信喪失(だって相手はあの白石)していたのに、
厄介者の後輩まで参戦ときた。



「あー…」



今日も今日とて謙也は『あー…』だった。
男色趣味なんてアイツら(ラブルスの方)と俺だけで十分っちゅーハナシや。という文句を込めて。

それでも溜め息ではなく『あー…』なのは、
この片思いと、それを取り巻く関係を少なからず楽しいと思っているから。



「あー…」



平和ボケした、のんきなスピードスターは
『あー…』を最後にいつの間にやら眠ってしまっていた。



END...

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