立海×不二

□無理強いしい
1ページ/1ページ



「も、無理…」

「無理なことありゃあせん」

「限界…」

「そんなことなか」



絶え絶えに、可愛い唇が震えている。
そこから漏れる拒絶的な言葉を俺は片っ端から突っ撥ねていく。



「もう、疲れたし…眠い…」

「不二は体力がなさすぎるんじゃ」

「そんなことない」

「実際へばっとろぉが」

「だって仁王が、」



きっとそこらの男子中学生より、ずぅっと鍛えられているのは事実だろう。
が、付いて来られていないのは紛れもない事実。
ただまぁ、ここまでくると最早着いてこれないのは実のところ不二の言うとおり体力云々とは割と関係ない。

それを承知で。
泣きゴトを言う唇はさっさと塞いでしまって、でもその先はしっかりと味わって、



「っ…ん……」



と、思ったのに不二は強情にも声を出そうとしない。



「声、抑えたらいかんぜよ」

「じゃあ、もう止めて…」

「なに言いよん。止めたらキスできなくなるじゃろが」

「も、今日は良いからっ」

「いやじゃ。」



文字通り逃げ腰になる不二を抱き寄せ捕えてまた唇を合わせた。



「んっ…ふ…」

「もっと、じゃ…」



ふと立ち返れって考えてみれば、どうしてこんなにも執着しているのだろうか?
今日はもう、いや、おっと。何度目だっただろうか。忘れてしまった。

不二の歯列の隙間々までを舐め尽くすように貪りながら目を開けてみて、震える睫毛に
はじめて、ちょいと無理強いだったかもしれんの。と、反省した。



「ふっ、ぁ」



正直、まだ不二が苦しげに吐き出した息にすら興奮できたが俺は触れるだけのキスをし直して言った。



「やっぱ止めじゃ。」

「え…?」



ゆらりと青い光が揺らめいた。
切な気な表情に、せっかく作動させた制動装置が早くも壊れかけてきた。

のぉ、なんでそげな表情しよんの?



「なんで?」

「嫌なんじゃろぅ?無理強いはしたくなか」

「散々シといてよく言うよ」



自分でも白々しいと思った程だったから、当然不二にとっては尚更そうだったらしい。
途端に挑発的に瞳が光ったようだった。
すぐに伏せ隠されてしまったけれど気のせいではないだろう。



「やり過ぎじゃった。反省しとぉよ」

「よく言うよ」

「すまんかった」



呆れられているのに、もう押し倒してしまいたくなっている。
いかん。これじゃもう、まるで病気じゃ。

不二のカラダに触れていたくて、そうでないと気が狂ってしまいそうだ。
けれどもやっぱり出来る限り優しくはしたくて。本当に今更だが。それでも、だ。

だのに、俺は例の表情にうかうかとやられてしまいそうな軟弱な理性しか持ち合わせていない。
興味を逸らすように、寝返りを打ちかけた。



「続き、しよ」



打ちかけたのだけれども、溜め息交じりの言葉と、肩に掛けられた腕に引き留められて、結局理性が決壊した。
ブレーキは早くも使い物にならなくなってしまっていた。

我ながらモロ過ぎじゃ。



「限界なんじゃろ?」

「これでも鍛えてるし」



ここから先はもう本当に体力の問題じゃない気がしつつ。

不二の態度は不機嫌半分だったのに。
俺は柄にもなくえらく嬉しくなってしまって、ついついからかい口調で、



「どこをじゃ?尻の穴のことかの?」



言うたらビンタを喰らってしもうたぜよ。プリッ―――…



END...

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ