小説

□3章
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 夕食前には帰るなどと言っておきながら夕食どころか、まだ夕方にすらなっていなかった。予定外に早く帰って来てしまったロイドは重い足取りで屋敷の扉を開けた。

いつもはユエルとレイスが出迎えてくれるが、予定外に早い帰宅のせいか誰も出迎えてくれる人は居なかった。少し遅れて気配に気付いたユエルが階段から降りて来た。

「あれ? ロイドどうしたの? さっき出掛けたばかりなのに忘れ物?」

ユエルは不思議そうな顔をしている。そして直ぐにロイドの様子がいつもと違うことに気付き心配そうにした。

「ロイド…大丈夫?」

ロイドにしがみ付き心配そうにじっと見つめている。

「ごめん…何でもないんだ…ちょっと部屋で休むよ…」

ロイドは自室へ戻ろうとしたがレイスの姿が見えないことに気付く。予定外の早い帰宅とは言え、いつもならば自分が帰って来たことに気付いて出迎えに来てくれる筈であった。

「ユエル、そういえばレイスは?」

「あ、レイスなら用事があるって言って出掛けたの。夕方には帰るって」

「そっか……」

レイスは出掛ける予定はいつも事前にロイドに知らせてくれていた。しかし今日の外出の件は何も聞いていなかったので少し気になったが、今のロイドの心境はそれどころではなかった。


 
 
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