小説

□15章
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 シーラが食事をテーブルに並べている。
今夜の夕食はシチューとパンだ。シチューの中には牛肉とゴロゴロした厚切りの野菜がたっぷりと入っている。
その中に一際目を引く鮮やかなオレンジ色の野菜を見付け、ユエルは顔色を曇らせた。

「? どうしたんですかユエルさん。 今日は朝から食欲が無いようですね。
ダメですよ…成長期なんですから、しっかり召し上がって頂かないと」

シーラは昨晩の人参の件を知らない。
いつもは必要最低限の会話しかしないシーラだったが、彼女なりにユエルのことを気にかけていた。

ユエルはとても食べる気にはなれなかったが、一口も食べずに残すのはシーラに申し訳無い気がした。

「………いただきます」


 
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