小説
□18章
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馬車は順調に進んでいた。住宅街を抜け、緑豊かな小道を走っている。
「シーラさん…ロイド…」
シーラと別れてからはユエルの心を孤独と不安が覆っていた。この短期間であまりにもたくさんの出来事が起こりすぎた。ユエルにはロイドがどんどん遠くなって行くような気がして怖かった。
「あ、そういえば…」
シーラがサンドウィッチを作ってくれていたことを思い出し、バックの中を探す。
「えっと…あ、これかな?」
弁当箱を開けると丁寧に全て違う具で作られた色とりどりのサンドウィッチが並べられていた。シーラらしい手の込んだサンドウィッチだ。
「わぁ…美味しそう。いただきます」
ぱくりと一口食べると涙が零れ落ちた。
「あれ…? どうしたんだろ…涙止まらない……止まらないよ……っ」
今まで我慢していたものが糸が切れたかのように溢れ出て来る。
これまでの事、これからの事…色々な事が頭の中を過って涙が止まらなかった。