小説
□19章
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路地裏には複数人の男達が屯っていた。
「リーダー、見付けやした。こいつで間違いないですぜ…!」
リーダーと呼ばれている男は懐から財布を取り出しながら言った。
「…この財布はおまえので間違いないか…?」
「それは…!!」
リーダーの男が持っていた物…それは間違い無くユエルがシーラから渡された財布だった。
「どうやら…おまえの財布で間違いないようだな」
「ど、どうして…!?」
「この財布はな、そこの男がさっき繁華街でおまえからスった物なんだが…
ただのガキにしちゃあ予想外の大金が入っていたもんでな。
もしかして何処かの良い家のお坊ちゃんか何かなんじゃって話になってな…
おまえを探してたって訳だよ」
「違っ…違うの! そのお金は……っ! 返してください…!」
ユエルは男達に取り囲まれている。
どうやら男達はレツの追っ手とは無関係のようだったが、それでも良い状況とは言えない。
「リーダー、こいつ誘拐して身代金を要求したらたっぷりふんだくれますぜ…」
「っ!! 違うんです…! そんなんじゃ…っ」
「こんな大金をただのガキが持ってる訳ねぇよなぁ? おまえ何処のお坊っちゃんだ?」
「お金持ちとかそんなんじゃないんです…! あのお金は」
「おい、他に金目の物持ってないか調べろ!」
ユエルが最後まで説明し終わるまでもなく、リーダーの男が命令した。