小説
□20章
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ノバラの私室に連れて来られたユエルは椅子に座らされていた。そしてテーブルを挟んで向かい合った席にはノバラが座っている。
「さっきは人違いで怒って悪かったわね」
「いえ…」
「あたしはノバラ。ここの店主よ。
ところであんた…何か訳有りでしょ? 家出少女か何かでしょ?」
「っ……」
「…そういう子って目で判るのよ。別に話したくないなら話さなくてもいいわ。無理に聞き出すつもりも無いし…」
「………。」
「本題に入るけど…あんた、うちの店で働かない?」
「えっ…!? 働くって…でも…」
ユエルは突然の申し出に困惑した。そもそもユエルには此処が何の店なのかもよく解っていなかった。
「悪い話じゃない筈よ。あんたどうせお金も無いんでしょ? 此処で働いてくれるならあんたの衣食住は保証するし、給料だって出すわよ」
確かにユエルはあの男達に財布を取られたまま無一文の状態であった。
「……あの、働くって…ここ何屋さんなんですか…?」
「…!? ちょっとあんたどんたけ鈍いのよ!?」